金田一少年の事件簿の事件の一つ「ファイル1 オペラ座館殺人事件」のネタバレ解説記事です。
以降はネタバレを含みますのでご留意ください。
目次
ネタバレ解説
被害者の人数:3人
怪人名 :怪人(ファントム)又は歌月
ストーリー :★★★
犯行トリック:★★
動機の同情度:★★★
管理人満足度:★★★
全国高校演劇コンクールを控えた美雪を含む演劇部のメンバーは練習のために合宿を行うことになる。
演劇部はコンクールで「オペラ座の怪人」を行う予定であった。
演劇部では月島冬子の自殺事件により人手不足なっていたため、音響係として金田一も美雪の勧誘で合宿に参加する。
合宿が行われるのは離れ小島にある「オペラ座館」。
クローズドサークルの中で次々に起こる事件に金田一が立ち向かう。
登場人物
本事件の登場人物です。
・金田一 一(17歳)
高校2年生。
名探偵金田一耕助の孫で普段は落第すれすれだが実はIQ180の天才。
人手が足りないため助っ人として演劇部の合宿に参加することになる。
なおシリーズ最初の事件簿となる今回の事件では、金田一が不動高校の入学試験で学校始まって以来の好成績で合格したこと、中学校時代の知能テストでIQ180を記録したことが明らかにされている。
・七瀬 美雪(17歳)
高校2年生
金田一の幼馴染で優等生。
事件に遭遇した時は金田一の助手としてサポートする。
最初の事件簿となる今作ではミス研ではなく演劇部に所属していた。
・黒沢 和馬
オペラ座館のオーナー。
4年前にオペラ座館の劇場で娘が服毒自殺をしている。
娘の自殺の原因は劇団員だった恋人に捨てられたため。
かなり思わせぶりな言動が目立ったが事件とは一切関係がない。
・緒方 夏代
事件の第3の被害者
不動高校の音楽の授業の担任で演劇部の顧問も務める。
女優になってもおかしくないくらいの美貌の持ち主。
金田一がIQ180の持ち主あることを知っており、金田一のことを買っている。
トリックに使用されたオープンリールを偶然見つけてしまったことで口封じのため殺害される。
・布施 光彦
演劇部の部長。
高校3年生。
「オペラ座の怪人」ではファントム役を演じる。
・日高 織絵
事件の第1の被害者
演劇部の部員。
高校2年生。
月島冬子の才能を妬んで涼子と春美と協力していたずらを計画した。
理科準備室に冬子を呼び出して服に硫酸をかける軽いいたずらのつもりであったが、驚いた冬子が棚にぶつかった拍子に硫酸のビンが落ちてきて顔にかかってしまった。
冬子は顔に一生治らない傷を負い舞台に立てなくなってしまう。
こんなことになっても冬子は当初3人を許すつもりであった。
しかし織絵、涼子、春美の3人が冬子はいい子ぶっているからあのいたずらのことは誰にも口外しないのだと嘲笑していることが冬子の耳に入ってしまう。
冬子はそのことが原因で自殺してしまう(この時の冬子の心理は冬子の項目を参照)。
冬子が自殺したことが原因で交際相手の有森が復讐を計画する。
その結果、織絵は照明器具の下敷きにされて殺害される。
・有森 裕二
事件の犯人。
演劇部の部員。
高校2年生。
交際していた月島冬子を自殺に追いやった織絵、涼子、春美の3人に復讐を計画する。
計画に従い、織絵と春美は殺害出来たが涼子は殺害することが出来なかった。
また全くの無関係である緒方先生をトリックを見破られそうになったため殺害している。
有森はこのことを後悔しており、金田一に全てのトリックを見破られた後は涼子殺害用に残してあったボウガンの矢を自分で受けて自殺した。
・桐生 春美
事件の第2の被害者
演劇部の部員。
高校2年生。
普段はつんけんしているが舞台に立つと役になりきることが出来る。
月島冬子の才能を妬んで涼子と織絵と協力していたずらを計画した。
理科準備室に冬子を呼び出して服に硫酸をかける軽いいたずらのつもりであったが、驚いた冬子が棚にぶつかった拍子に硫酸のビンが落ちてきて顔にかかってしまった。
冬子は顔に一生治らない傷を負い舞台に立てなくなってしまう。
こんなことになっても冬子は当初3人を許すつもりであった。
しかし織絵、涼子、春美の3人が冬子はいい子ぶっているからあのいたずらのことは誰にも口外しないのだと嘲笑していることが冬子の耳に入ってしまう。
冬子はそのことが原因で自殺してしまう(この時の冬子の心理は冬子の項目を参照)。
冬子が自殺したことが原因で交際相手の有森が復讐を計画することになる。
春美はオペラ座の怪人になぞらえて絞殺により殺害される。
・早乙女 涼子
演劇部の部員。
高校3年生。
演劇では自殺した月島冬子に代わり「オペラ座の怪人」のヒロイン役を務める。
月島冬子の才能を妬んで春美と織絵と協力していたずらを計画した。
理科準備室に冬子を呼び出して服に硫酸をかける軽いいたずらのつもりであったが、驚いた冬子が棚にぶつかった拍子に硫酸のビンが落ちてきて顔にかかってしまった。
冬子は顔に一生治らない傷を負い舞台に立てなくなってしまう。
こんなことになっても冬子は当初3人を許すつもりであった。
しかし織絵、涼子、春美の3人が冬子はいい子ぶっているからあのいたずらのことは誰にも口外しないのだと嘲笑していることが冬子の耳に入ってしまう。
冬子はそのことが原因で自殺してしまう(この時の冬子の心理は冬子の項目を参照)。
冬子が自殺したことが原因で交際相手の有森が復讐を計画することになる。
有森が仕掛けたボウガンにより殺害されるところであったが、その前に金田一が全ての謎を解いたことで助かる。
管理人としては冬子に対する言動は涼子が一番悪意を感じるため、涼子だけが助かるのは釈然としないものがある。
・月島 冬子
演劇部の部員。
高校2年生。
同じ演劇部の有森と交際をしていた。
天性の女優であり冬子ほど舞台映えする女性はいないと言われていた。
しかし冬子のことを妬んだ演劇部の織絵、涼子、春美の3人がいたずらのつもりで冬子を理科準備室に呼び出して服に硫酸をかけた。
驚いた冬子は棚にぶつかりその拍子に棚から落ちてきた硫酸を顔にかぶり大きなけがを負ってしまった。
そんなことになっても冬子は織絵、涼子、春美の3人のしたことを交際している有森以外には話すことがなかった。
しかし偶然織絵、涼子、春美の3人が冬子はいい子ぶっているから誰にも今回のことは話さないと嘲笑しているのを聞いてしまう。
そのことを聞いた冬子は自分の心があの3人への憎悪でどんどん醜くなっていくことを感じ、まだ3人が許せる気持ちの内に死のうと決意し、自殺した。
しかし交際していた有森は冬子を死に追いやった3人のことを許すことが出来ず今回の事件に至った。
なお冬子は自殺する前に有森に手紙を出しており、その手紙には心が3人への憎悪に支配される前に自殺をすること、いつかまた天国で暮らせるように有森にも3人を憎まないでほしいことが書かれていた。
しかし有森は冬子が自殺した後、ほとんどアパートには戻っていなかったためこの手紙を見ていなかった(有森は両親が離婚しアパートで独り暮らし。)。
もし有森が冬子の手紙を見ていたら今回の事件は起きていなかったと考えられる。
・仙道 豊
演劇部の部員。
高校2年生。
大道具係を務める。
・結城 英作
医者。
横浜で開業医をしている。
死体の検死を行うなど活躍してくれた。
食事の際にフォークとナイフではなく手術用のメスと鉗子で食べるなど若干異常な人物として描かれている。
・剣持警部(48歳)
休暇で偶然にオペラ座館に訪れていた。
ここから金田一と美雪との長い付き合いが始まる。
日高織絵の殺人事件を事故と発言したり金田一の引き立て役として描かれている。
また現在では金田一に全幅の信頼を寄せているが、ファーストコンタクトとなった本作では「生意気なガキ」としか思っていない。
ただ金田一が事件を全て解明した後は下記のセリフを残しており金田一をガキから一人の男として認めている。
まったく・・・
あいつたったひとりで事件を全部解決しちまいやがった。
金田一耕助の孫ってのは伊達じゃないようだ。
金田一 一
たいした”男”だぜ。
金田一少年の事件簿 File(1) オペラ座館殺人事件 P228 剣持警部のセリフ
・歌月
金田一たちがオペラ座館に来る1日前にチェックインした客。
顔を包帯でぐるぐる巻きにしている。
実際は犯人である有森の変装である。
有森は歌月としてチェックインした後はスーツケースに隠してあったモーター付きゴムボートで島を抜け出して翌日何食わぬ顔で演劇部の一行として再度オペラ座館を訪れる。
歌月は有森が全ての罪を着せるスケープゴートとして生み出したのである。
事件の内容
一連の事件の犯人は演劇部の合宿に参加した高校2年生有森裕二。
犯行動機は下記。
有森は同じ演劇部の月島冬子と交際をしていた。
冬子は天性の女優であり冬子ほど舞台映えする女性はいないと言われていた。
しかし冬子のことを妬んだ演劇部の織絵、涼子、春美の3人がいたずらのつもりで冬子を理科準備室に呼び出して服に硫酸をかけた。
驚いた冬子は棚にぶつかりその拍子に棚から落ちてきた硫酸を顔にかぶり大きなけがを負ってしまった。
冬子は顔に一生残るけがを負い二度と舞台に立てなくなってしまう。
そんなことになっても冬子は織絵、涼子、春美の3人のしたことを交際している有森以外には話さなかった。
しかし偶然にも織絵、涼子、春美の3人が冬子はいい子ぶっているから誰にも今回のことは話さないと嘲笑しているのを聞いてしまう。
そのことを聞いた冬子は自分の心があの3人への憎悪でどんどん醜くなっていくことを感じ、まだ3人が許せる気持ちの内に死のうと決意し、自殺した。
交際していた有森は冬子を死に追いやった3人のことを許すことが出来ず今回の事件に至った。
なお冬子は自殺する前に有森に手紙を出しており、心が憎悪に支配される前に自殺をすること、いつかまた天国で暮らせるように有森にも3人を憎まないでほしいことが書かれていた。
しかし有森は冬子が自殺した後、ほとんどアパートには戻っていなかったためこの手紙を見ていなかった(有森は両親が離婚しアパートで独り暮らし)。
もし有森が冬子の手紙を見ていたら今回の事件は起きていなかったと考えられる。
有森は織絵、春美の殺害に成功するが涼子の殺害は金田一に阻まれた。
また有森は無関係の緒方先生を殺害したことを後悔しており、最後は涼子殺害用に仕掛けておいたボウガンの矢を自ら受けて自殺する。
第1の事件:日高 織絵殺人事件
録音したテープを使った時間差トリック。
<謎>
日高織絵の悲鳴が聞こえたときに犯人である有森も含めて全員食堂にいた。
果たしてどのように有森は犯行を行ったのか?
<答え>
犯行手順は以下。
有森は昼間の演劇の練習の際に織絵の悲鳴を録音しておいた。
そしてみんなが食堂に集まる時間に織絵を舞台の上に呼び出しておく。
また食事の時間に織絵の録音した悲鳴が聞こえるようにセットする。
※舞台の幕を下ろしていたため織絵にはスピーカーから流れる織絵の録音した悲鳴は聞こえない。
織絵の悲鳴に驚いたみんなが織絵を探しにいった際に、有森はいち早く織絵がいる劇場に向かい、照明器具のワイヤーを切り織絵の上に落として殺害する。
なお実際に織絵を殺害するときは織絵の悲鳴が聞こえないように劇場の開幕ベルを鳴らしてごまかす。
そしてトリックを気が付かれないように舞台の幕を上げて、何食わぬ顔でみんなに紛れて劇場に顔を出したのである。
第2の事件:桐生 春美殺人事件
春美をワイヤーで絞殺した有森はオペラ座館の目の前にある木まで春美の靴を履き、春美をかついでいく。
木に春美を吊るした後は春美に靴を履かして、有森自身は芝生の上を通って大回りして部屋に帰る。
その結果春美の部屋からは春美の靴の足跡しか残らず自殺に見せかけることが出来た。
第3の事件:緒方 夏代殺人事件
有森は第1の事件の日高織絵殺害時のトリックで使用したオープンリール(録音テープ)を回収しようと劇場に向かった。
劇場での有森の物音を聞いた緒方先生は誰かがいるのかと劇場に向かう。
そこで緒方先生は偶然トリックに使用されたオープンリールを発見してしまう。
陰で緒方先生の行動を見ていた有森はトリックが露見するのを避けるために緒方先生を殺害する。
殺害後はオペラ座の怪人になぞらえて緒方先生の部屋の浴室に死体を放り込んでおいた。
しかし緒方先生の付け爪をしたままにしておいたことから、金田一に付け爪をしたまま風呂に入るやつはいないと指摘されて犯行現場は浴室ではなく別の場所であることを見抜かれた。
管理人コメント
記念すべき最初の事件簿です。
剣持警部も最初の事件から登場していて、ここから金田一や美雪との長い付き合いが始まると思うと感慨深いものがあります。
<トリック>
トリックと呼べるものは織絵の悲鳴を録音して時間差で流すというのと、前日に歌月としてチェックインして島を抜け出すというくらいですかね。
様々なトリックが出そろった今から考えると少し物足りない気もしますが、初期の金田一の不気味な雰囲気と怪人ファントムの恐ろしさがマッチして物語としては十分楽しめます。
<動機>
両親が離婚して一人暮らしの有森にとって唯一の心の支えである恋人の冬子を自殺に追いやった3人に復讐したいという気持ちは十分理解できるものです。
正直早乙女たちのいたずらは度が過ぎており、硫酸をかけるとかやり過ぎ以外の何物でもありません。
現在の少女漫画のようなきれいな絵に比べて初期の絵は劇画チックに描かれており、死体の描写などもリアルに感じられます。
※というか初期の絵柄は普通に子供が見たら怖いと思います。
ちなみに管理人としては初期の絵柄の方が好きです。
剣持警部の金田一のへの対応も今から見ると考えられませんが、普通に考えれば警察が高校生に頼るほうが異常なのでファーストコンタクトと考えれば妥当ですね。