【小説】ホワイトアウト|ネタバレ感想

小説

真保裕一氏のサスペンス小説「ホワイトアウト」のネタバレ感想記事です。

手に汗握るとは正にこのことです。

管理人としては真保裕一作品の中では一押しです。

ハラハラドキドキの展開から最後のオチまで含めて大満足でした。

あらすじ
日本最大の貯水量を誇るダムが、武装グループに占拠された。職員、ふもとの住民を人質に、要求は50億円。残された時間は24時間!荒れ狂う吹雪をついて、ひとりの男が敢然と立ち上がる。同僚と、かつて自分の過失で亡くした友の婚約者を救うために―。圧倒的な描写力、緊迫感あふれるストーリー展開で話題をさらった、アクション・サスペンスの最高峰。
「BOOK」データベースより

ネタバレ

ここからネタバレしてきますので未読の方はご留意ください。

登場人物

作品の主な登場人物です。

・富樫輝男

本作の主人公。ダムの作業員だがダムを占拠したテロリスト達を次々と撃破していく。

過去に親友の吉岡と一緒に遭難者の救助に向かい、吉岡を助けられなかった過去がある。

一緒に救助に向かった吉岡が負傷してしまったことで富樫は吉岡と遭難者2人をその場において一人で救助を呼びに帰る。
しかし吹雪いていたこともあり道に迷い救助を呼ぶのが遅れてしまった。

その結果、遭難者二人は助かったが吉岡は死亡してしまう。

富樫は吉岡を助けられなかったことをずっと後悔していた。

そんな中テロリストがダムを占拠する事件が発生する。

しかもタイミングが悪いことに吉岡の婚約者である千晶も吉岡の職場を一目みておきたいと見学に来ている日だった。

ダムの作業員はテロリストたちの監視下に置かれていたが、富樫だけがちょうど外に出ていたこともあり拘束されなかった。

千晶が拘束されたことを知った富樫は吉岡を助けられなかった自分が生かされているのは、今日吉岡の代わりに千晶を助けるために違いないと一人テロリストに立ち向かうのであった。

最後の富樫と千晶のやり取りに管理人は涙。。

・平川千晶

ダム作業員である吉岡の婚約者。

遭難者を助けるために命を落としてしまった吉岡のことを吹っ切ることが出来ず落ち込んだ日々を過ごしていた。

しかし自分が前に進むためにとかつての吉岡の職場のダムを見学しにいくことにする。

岩崎に連れられてダムの見学にいった日にトンネルでテロリストたちと遭遇してしまい岩崎は銃殺されるが千晶は捕虜となる。

富樫を恨んではいけないと思いつつも富樫が道に迷わずに救助を呼んでくれれば婚約者である吉岡も助かったはずだという思いが胸にうずまいていた。

・吉岡和志

ダム作業員。富樫の親友。

富樫と一緒に遭難者を救助しにいった際に負傷してしまい動けなくなってしまう。

富樫の救助を遭難者の二人と待つが富樫が救助を呼ぶのを遅れたこともあり命を落としてしまう。

・石坂昌弘

ダムの作業員。富樫と吉岡の上司。

テロリスト達の捕虜となる。

・岩崎吉光

富樫と吉岡の上司。

ダムの見学に来た千晶の案内役を務める。

しかしダムへ向かう途中のトンネルでテロリストたちと遭遇し銃殺されてしまう。

・村瀬勇治

スキー場リフトの運転員。

誰もいないはずのレストハウスに人影があったため富樫とともに向かうがそれはテロリストたちであった。

そのままテロリストに見つかり銃殺されてしまう。

・宇津木弘貴

テロリスト「赤い月」のリーダー。

ダムを占拠し作業員達を捕虜にし身代金を要求する。

実は仲間のテロリストたちを最初から裏切る計画を立てていたとんでもない男。

宇津木はダムを占拠したあと仲間たちを捨て駒にし自分だけ逃亡するつもりであった。

宇津木は仲間の前で警察と連絡を取っていたが実は相手は警察でなく警察のふりをしていた宇津木の本当の仲間であった。

実際の警察との交信は宇津木の本当の仲間が別の場所から行っていた。

最終的に宇津木は仲間を見捨てて自分は本当の仲間とダムから逃げるつもりでいたが、富樫に逃走経路を見破られてスノーモービルで追いかけられる。

逃走劇の末、最終的に雪崩に巻き込まれ死亡する。

なお宇津木の本当の仲間は富樫と吉岡が助けた遭難者の2名であった。

遭難者2名はダムを占拠するための下見にきていて遭難していたところを富樫と吉岡に救助されたことになる。

あの時富樫と吉岡が遭難者を助けに行かなければ吉岡も死なずにすんだしテロも起らなかったと考えると複雑である。

・笠原義人

テロリスト「赤い月」のメンバー。

しかし本名は小柴拓也といいメンバーに素性を明かしていない。

実は過去に赤い月のテロ行為で家族が命を落としており、その復讐のために組織にもぐりこんだ。

ダムに詳しく今回のテロの主力と言える。

笠原の狙いはダムを占拠し、自分の敵の逮捕されている赤い月のメンバーを刑務所から釈放させること。

そして釈放したメンバーを自分の手で葬るつもりであった。

しかしリーダーの宇津木は他のメンバーの釈放など興味がなく自らが金銭を手にすることが目的だった。

宇津木の裏切りに気づいた笠原は宇津木を追いかけるが、油断もあり潜んでいた宇津木の仲間に銃殺されてしまう。

・戸塚信吾

テロリスト「赤い月」のメンバー。

戦闘能力に優れており狂暴な性格。敵のなかではかなりキャラが立っていた。

新入りの笠原のことをうとましく思っており、裏切った宇津木を追いかけた笠原を追跡する途中で富樫と遭遇し凍った湖の上で戦闘になる。

格闘で富樫を追い詰めるが、富樫が湖に銃を撃ったことで、湖の氷が割れてそのまま湖に落ちて死亡してしまう。

・金子雅也

テロリスト「赤い月」のメンバー。

ダムを占拠後は制御室の監視を一人で行っていたが富樫に消火器で奇襲をかけられて、殴り倒されて最終的に死亡する。

金子が持っていた銃を富樫に奪われたことで戦況は一変することになる。

・皆川正道

テロリスト「赤い月」のメンバー。

金子を殺害された後、富樫の存在を知ったテロリストたちはダム内に富樫を閉じ込めて煙で行動を奪い殺害しようとするが富樫は酸素マスクで危機を回避しており、逆にテロリストたちを待ち受けていた。

油断していた皆川は富樫に銃殺されることとなる。

・須山

テロリスト「赤い月」のメンバー。

宇津木が逃亡したことでメンバー内の秩序が保てなくなり戸塚と言い合いになり殺害されてしまう。

事件概要

本作で主な事件は2つ。

それぞれ簡単に解説していきます。

・吉岡が死亡した事件

遭難者2人が山にいるという情報を得た富樫と吉岡は、遭難者を見捨てることは出来ないと遭難者二人を助けにいく。

しかし遭難者は見つけたものの吉岡は運悪く負傷してしまう。

遭難者二人と吉岡を置いて富樫は一人救助を求めるが吹雪にあったこともあり富樫は救助を呼びにいくのが遅れてしまう。

その結果二人の遭難者は助かったものの吉岡は命を落とすことになる。

ちなみにこの時に助けた遭難者2人はどちらもテロリストの一味であった。

・ダム占拠事件

テロリスト「赤い月」がダムを占拠し金銭を要求した事件。

途中までは計画通りにいっていたが、富樫一人を取り逃したために計画は失敗に終わる。
※最終的にテロリストは全員死亡する。

この事件においてはテロリスト側も目的が統一されておらず下記のようになっていた。

<宇津木>
一緒にダムを占拠した仲間を捨て駒にし金銭をもらい逃亡するつもりであった。

<笠原>
過去にテロリスト「赤い月」のテロ行為によって家族を失っていた。
そのため今回の事件を通じて刑務所に入っている自分の家族を殺害したメンバーを釈放させて自分の手で敵討ちをするのが目的であった。

<戸塚たち>
ダムを占拠し刑務所にいるメンバーを釈放し更に金銭を要求するのが目的。
宇津木と笠原の思惑には気づいていない。

Q&A

ここでは事件の結果やわかりづらいことをまとめていきます。

Q1
最終的にダムを占拠したテロリスト「赤い月
」のメンバーはどうなったのか?

A1
全員死亡した。

宇津木弘貴
→雪崩に巻き込まれて死亡。宇津木の本当の仲間で富樫と吉岡が救助した遭難者2人も宇津木と一緒に雪崩に巻きまれて死亡。

笠原義人
→宇津木の仲間に銃殺される。

戸塚信吾
→富樫との格闘中に湖に落ちて死亡。

金子雅也
→富樫との格闘により死亡。

皆川正道
→富樫に銃殺される。

須山
→仲間割れの末、戸塚に殺害される。

Q2
警察と交信をしていたのは誰だったのか?

A2
宇津木の本当の仲間(富樫と吉岡がかつて助けた遭難者2人)。

宇津木が笠原や戸塚の前で交信してたのは警察ではなく宇津木の本当の仲間であった。
宇津木の本当の仲間は戸塚たちを欺くために警察のふりをして宇津木と交信を行っていた。

本当に警察と交信していたのは宇津木の仲間であった。

Q3
ラストシーンで富樫が千晶のことを吉岡と言っていたのはなぜか?

A3
富樫はホワイトアウトという吉岡が遭難したときと同じ状況になり記憶が錯乱していた。

さらにテロリストたちとの戦闘による極度の疲労という、様々な状況が重なったことによって今自分が助けているのは吉岡だと誤認してしまったのである。

感想

いやー、ほんと面白かったです。

ラストシーンで富樫が千晶を救助隊に引き渡して「吉岡を頼む」と言ったシーンは涙しました。

千晶も富樫に対して吉岡を助けてくれなかったというわだかまりを抱えていましたが、自分を命がけで助けてくれたとことと、救助隊から富樫が千晶を引き渡す際に「吉岡を頼む」と発言したことを聞いて富樫自身もずっと吉岡を助けることが出来なくて苦しんでいたとわかりわだかまりがとけるシーンはじーんときました。

途中のテロリストとの戦闘シーンも富樫に運が味方したこともありますが地の利を生かして次々に敵を撃破するところは手に汗握りました。

間違いなく読んで損はない作品ですので未読の方はぜひ読んでみて下さいね。

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