ネタバレ感想|イニシエーション・ラブ『乾くるみ』

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今更ながら乾さんの小説「イニシエーション・ラブ」を読んだのでネタバレ記事を書いていきます。

小説未読の方はご注意下さい。

あらすじ

大学四年の僕(たっくん)が彼女(マユ)に出会ったのは代打出場の合コンの席。

やがてふたりは付き合うようになり、夏休み、クリスマス、学生時代の最後の年もともに過ごした。

マユのために東京の大企業を蹴って地元静岡の会社に就職したたっくん。

ところがいきなり東京勤務を命じられてしまう。

終末だけの長距離恋愛になってしまい、いつしかふたりに隙間が生じていって・・・・。

イニシエーション・ラブ 乾くるみ 原書房

 

 

ネタバレ

話は僕ことたっくんが大学4年生の時にマユと出会って付き合うようになる「side-A」とたっくんが就職して東京に転勤になり、マユと遠距離恋愛になるside-Bの二つで構成されています。

 

side-A

大学4年生のたっくんが初めて行った合コンでマユと出会う。

お互いに惹かれあった二人は順調にデートを重ねて結ばれる。

たっくんとマユが初めてのクリスマスを迎えるところでside-Aは終了する。

 

side-B

会社に就職したたっくんは東京に転勤になりマユとは遠距離恋愛になる。

当初は頑張ってマユのいる静岡に毎週帰っていたたっくん。

しかしマユの妊娠騒動や同僚である美弥子の出現によりマユから気持ちは離れていきついに破局を迎える。

 

side-Aとside-Bのたっくんは別人です。

それは最後の最後に明かされるので、読者はside-Aとside-Bのたっくんは同一人物だと思って読み進めていきます。

しかし実はside-Aとside-Bのたっくんは別人でマユが二股をかけていたということが最後に明らかになるのです。

side-A⇒side-Bの時系列ではなくside-Aとside-Bは同時進行になります。

 

 

side-Aの主人公鈴木夕樹(すずきゆうき)をマユが夕(ゆう)がカタカナのタに見えることからタキ→たっくんという強引な論法であだ名を決めます。

これはこの時に付き合っていたside-Bの主人公鈴木辰也(すずきたつや)をたっくんと呼んでいたため、ぼろを出さないように両者のあだ名を統一したためです。

二人のことをマユがたっくんと呼ぶためside-Aとside-Bの主人公が同一人物であると読書がミスリードさせられます。

 

時系列

時系列をまとめるとこんな感じになると思います。

・鈴木辰也とマユが交際を開始する

・鈴木辰也が東京に転勤になりマユと遠距離恋愛になる

・鈴木辰也がマユの誕生日プレゼントにルビーの指輪を送る

・マユが合コンに参加し鈴木夕樹と出会う

・鈴木夕樹とマユが合コンメンバーと一緒に海に遊びにいく

・マユが鈴木辰也の子を身ごもる

・マユが鈴木辰也の子をおろす

・鈴木夕樹とマユが合コンメンバーでテニスに行く

・鈴木夕樹とマユが正式に交際を開始する

・鈴木辰也とマユが別れる。その後鈴木辰也は美弥子と交際する

・鈴木夕樹とマユがクリスマスを一緒に過ごす。鈴木辰也と美弥子がクリスマスを一緒に過ごす。

 

二人のたっくんが別人というのはなかなか気付かないですが、一応同時進行であることがわかるような伏線も貼られています。

 

伏線

・マユが夕樹とのデートを便秘で入院したからいけなくなったと言っていたが、本当は子供をおろして入院していたため

・辰也が見たマユの部屋にある本はマユが夕樹から借りたもの

・夕樹とマユが参加した合コンでマユが付けていたルビーの指輪は辰也からの誕生日プレゼント

・マユが夕樹にルビーの指輪をなくしたと言ったが本当は辰也に送り返したため。

・夕樹がホテルにクリスマスの予約をした時にちょうど空きが出たのは辰也がマユといく予定だったのをキャンセルしたため

 

 

まとめ

side-Bを読み進めると美弥子と浮気をしている辰也の印象が悪いですが、最後全てが明らかになるとマユも同じく二股をかけていて、二人とも最低だよねとなります。

結局当初付き合っていた辰也とマユがそれぞれ浮気をして新しい相手とくっつきます。

 

辰也ーマユ

だったのが

 

辰也ー美弥子

マユー夕樹

になります。

 

そういう浮気の良しあしのような倫理観的なところを置いておくと本書は非常に楽しく読めました。

時系列を考えたり伏線を探すために読み直したりとミステリー好きなら必ず楽しめる1冊だと思います。

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