ネタバレ感想:悪の教典『貴志祐介』

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今更ですが貴志祐介さんの映画化もされた有名な小説悪の教典です。

晨光学院町田高校に英語教師として勤務する蓮実聖司。

同僚の教師や生徒から絶大な人気を誇る蓮実の裏の顔は自身の理想に邪魔なものは容赦なく排除するというサイコパスであった。

あらすじ

文庫本で上巻、下巻にわかれているのでかなりボリュームがあります。

晨光学院町田高校に起こる数々の問題を蓮実が圧倒的な人気と絶対的な能力を駆使して解決していきます。

感想(ネタバレ注意あり)

物語序盤、蓮実は数々の問題を迅速に解決しているのですごく生徒思いの良い教師のように描かれています。

生徒に暴力をふるった同僚の教師が生徒の親に訴えられそうな問題を解決したり、教師からセクハラを受けてい女生徒の問題を解決したり・・・

数々の問題を解決していく蓮実ですが、学校の各所に盗聴器をしかけたり、モンスターペアレンツである生徒の保護者の家を放火したりとその解決方法は手段を選びません。

物語後半では犯罪行為が生徒に疑われて、色々と収拾がつかない事態になったため、文化祭の準備でクラス生徒が学校に泊まり込む夜に生徒全員を惨殺しようとします。

最終的には学校に閉じ込められた生徒の内、片桐怜花と夏越雄一郎の2人が自分たちが死んだように見せかけて蓮実の目をごまかし生還します。

また、殺戮が始まる前に屋上から投げ落として殺したはずの安原ミヤも運良く生き残っています。

蓮実はクラスメイト惨殺の罪を同僚の久米先生に着せようとしますが、生き残った片桐怜花と夏越雄一郎の2人の証言と、何よりAED録音機能に蓮実が犯人である決定的な発言が録音されていたため逮捕されます。

蓮実は逮捕された瞬間から自らが精神障害者であるかのような発言をし責任能力がないように見せかけて裁判で無罪を勝ち取るため、次の勝負に出るのでした。

蓮実の考えはとても論理的です。

自分にとって困った問題が起きたから自身の能力で解決するというだけです。

ただし普通の人と違うのはその解決手段に犯罪行為も含まれるということだけです。

蓮実が普通の人と自身の違いを述べているセリフが下記です。

かりに、殺人が一番明快な解決法だとわかっていたとしても、ふつうの人間は躊躇する。もし警察に発覚したらとか、どうしても恐怖が先に立つんだ。しかし俺はそうじゃない。X-sportsの愛好家と同じで、やれると確信さえできれば、最後までやりきることができるんだよ。X-sportsと同様、途中でためらるとかえって危険だけど、思い切って突っ走れば、案外走り切れるものなんだ。・・・どうだろう。こんな説明でわかってくれたかな?

出典:悪の教典 下(貴志祐介)53P 文春文庫

常識では考えられない蓮実の行動ですが、なぜか読んでいると蓮実が最後までやり遂げることを応援してしまいます。

普通の人がブレーキを踏むところで行けると思ったら迷いなくアクセルを踏み込める蓮実に魅力を感じてしまうのです。

読み始めると一気に読んでしまう面白さの小説ですのでまとまった時間があるときにぜひ読んで下さい。

 

 

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