水の柩|ラストシーンの解釈は?伏線を徹底解説

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ラットマンを読んで以来はまっているのが道尾さん作品です。今回は水の棺を読了しましたので解説記事をまとめます。

ちょっと重い感じの作品ですが管理人が大事にしている読後感は悪くないです。

 

 

あらすじ
平凡な毎日を憂う逸夫は文化祭をきっかけに同級生の敦子と言葉を交わすようになる。タイムカプセルの手紙を取り替えたいという彼女の頼みには秘めた真意があった。同じ頃、逸夫は祖母が五十年前にダムの底に沈めた「罪」の真実を知ってしまう。それぞれの「嘘」が、祖母と敦子の過去と未来を繋いでいく。
 

ネタバレ感想

何とも言えない重苦しい雰囲気が漂う本作ですが読後感は悪くありません。

 

本作のポイントは主人公の逸夫の成長とその同級生である敦子の「嘘」と逸夫の祖母が抱える「罪」です。

中学生である逸夫は旅館を営む家に生まれますが、何も起きない普通な毎日に飽き飽きしています。そんな逸夫が自分なりのやり方で同級生の「嘘」と祖母の「罪」に向き合っていくのが見どころになります。

 

敦子の嘘

敦子が逸夫についた嘘はタイムカプセルを掘り出す理由です。

敦子は小学生の頃から女子グループにいじめられており、小学校を卒業する際のタイムカプセルに埋める手紙に自分がいじめられた内容といじめた女子グループの名前を書いていました。その理由は20年後にみんなでタイムカプセルを空けた時にいじめた女子グループへ復讐するためです。

しかし敦子は20年後を待たずに自殺することを決意します。そうなった時、自分が死んだ原因をいじめによるものと思われたくないと考えます。そんな理由からタイムカプセルに埋めたいじめを告発する手紙を平凡な内容に書き直そうとします。そのタイムカプセルの手紙を見られたら敦子はいじめで自殺したと思われるからです。

一人でタイムカプセルを掘り返すのが無理だとわかっていた敦子は逸夫に協力を頼みます。逸夫にはタイムカプセルを掘り返す理由を偽り、いじめられてる自分を引きずらずに普通の毎日を手に入れるために手紙を書きなおすのだと説明するのでした。

逸夫の協力のもとタイムカプセルを掘り返し手紙のすり替えに成功した敦子は自殺を試みますが、敦子の嘘を見破った逸夫によって寸前のところで止められるのでした。

 

祖母の罪

逸夫の祖母である「いく」はずっと一つの罪を心に抱えています。

いくには子供の頃に仲良くしていた一人の少女「たづ」がいました。その昔たづと遊んでいる最中に、たづは急な斜面から転がり落ちて致命傷を負ってしまいます。

いくはたづを追って斜面を降ります。そこには血まみれのたづがいました。たづは最後の力を振り絞りいくのほうに這いつくばって寄ってきたがいくは驚きのあまりそのたづの手を振り払ってしまったのです。

振り払われた衝撃でたづは倒れてしまいしばらくして死亡してしまいます。いくが振り払ったことが致命傷になったのかわかりませんが、いくはたづが死んだのは自分の責任だとずっと思っていたのでした。

 

逸夫の解決策

逸夫は二人が前に進むために一つの解決策を提案します。

それは逸夫を含めて敦子といくの服装をした人形を作り、それを自分自身だとみなしてダムの底に沈めるというものでした。

逸夫が提案したダムの底に自分達の人形を沈めることの正確な意図は管理人には読み解くことが出来ませんでした。

しかし簡単に解釈すると自分達に模した人形をダムに沈めて、自分たちの気持ちを一度リセットするということなのかと思います。

その後の変化を見ると敦子はこれにより新しい気持ちで人生を歩むことが出来ているようなので、結果として意味のある行動になりました。

 

いくが敦子とたづを間違えたのは?

これは本当によくわかりませんでした。敦子はダムに人形を沈めたことにより何かが変わりました。一方いくはその後認知症の症状が出てしまい、そもそも自分の罪すらを忘れてしまいました。

ラストに逸夫は敦子やいくと一緒にまたダムに向かいます。いくはそこで敦子のことをたづと間違えて謝罪をするのでした。

正直敦子をたづと間違えたこと自体にはあまり意味がないと思っています。

認知症でたづのことすら忘れかけていたいくが一時的とはいえ昔の罪を思い出して、たづ(敦子)に過去のことを謝罪したことに意味があるのだと思います。

道尾さんの作品は伏線の取りこぼしがなく毎回話が綺麗に終わります。しかしたづは既に亡くなってしまっているため、いくがたづに直接謝罪することはできません。そのため物語を綺麗に終えるためいくを認知症にし、敦子をたづと間違えさせることで、いくの罪を清算させたのだと思います。

 

 

 

途中までは敦子が自殺してしまったと思い嫌な気持ちでしたが、生きていて本当に良かった。少し重い話でしたが管理人は非常に楽しめました。

未読の方はぜひ!

 

 

 
 
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