【小説】君にさよならを言わない|詳細ネタバレ感想記事

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ほっこりする話が詰まった短編集。

七月隆文先生と言えば「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」で有名ですがそれ以外にも面白い作品があります。

今回はその中の一つである「君にさよならを言わない」のネタバレ感想記事です。

 

「明くんと久しぶりに話せた…」事故がきっかけで幽霊が見えるようになったぼくは、六年前に死んだ初恋の幼馴染、桃香と再会する。昔と変わらぬ笑顔をぼくに見せる桃香は、ある未練を残してこの世に留まっていた。それは、果たせなかったあの日の約束…。桃香の魂を救うため、ぼくは六年前に交わした二人の約束を遂げる―。少年と幽霊たちの魂の交流を描く感動の連作短編。切なくて、温かい。
「BOOK」データベースより

 

ネタバレ

交通事故をきっかけに幽霊が見えるようになった主人公の高校生、明。

明は幽霊達が残したこの世への未練を解決していきます。

 

幼馴染の幽霊:桃香

明が最初に見ることになった幽霊。

小学校4年生の時に事故で亡くなった明の幼馴染。

明とは相思相愛で事故で亡くなる当日に明に思いを告げようとしていたが事故で亡くなってしまいその思いが叶うことはなかった。

その時の未練からずっと現代に留まり続けていた。

明が幽霊である桃香を認識できるようになったことでようやく明に思いを告げることが出来て相思相愛を確認し無事成仏した。

 

幼馴染が好きな女子高校:妙名(たえな)

美術部員である妙名は幼馴染の男子高校生厚士と合作で絵を描いていた。

しかしその絵が完成する前に妙名は亡くなってしまい、厚士との絵を完成させられなかった未練から妙名は幽霊になってしまった。

偶然美術室で妙名を見つけた明は妙名が絵を完成さえる手助けをすることにする。

その方法は妙名が明の身体に乗り移り絵を完成させるというもの。

無事絵を完成させた妙名は明を介して厚士とコンタクトを取ることが出来た。

お互いが友達でも恋人でもない特別な存在であることを確認した妙名と厚士。

厚士は今後は一人でも絵を描くことを妙名に約束する。

妙名は満足して成仏していった。

 

親友を守りたい古武術女子高校:川名水葡

女子高生ばかりを狙う連続殺人犯に殺されてしまった古武術を習っている川名水葡。

川名にはとても大事な親友である由佳里がいた。

 

川名はその友達が次に連続殺人犯に狙われるかもしれないと思い成仏出来ないでいた。

偶然明と町で出会った川名は明に連続殺人犯逮捕の協力を要請する。

 

二人で捜査をしていくと川名と同じ事件の被害者である女子高生の幽霊から次の連続殺人犯のターゲットが由佳里であることを知る。

明と川名は由佳里のところに向かう。

明に乗り移った川名が古武術で連続殺人犯を倒し無事に川名は成仏することが出来た。

 

リレー少女:野田実栗

陸上部の部長を務める野田実栗は自分が死んだ後の陸上部のリレーメンバーの関係がうまくいっていないこと、そしてまだ自分自身がリレーをやりたい未練から幽霊になってしまった。

明と出会った実栗は明を通じて陸上部のリレーメンバーと会話することに成功する。

お互いの想いをぶつけあったメンバーは一つにまとまる。

そうして迎えた次の大会で実栗は最終走者としてリレーを走ることになる。

他のメンバーの活躍から実栗はトップでバトンを受け取るとそのままトップでゴールを駆け抜けて消えていったのであった。

 

残した娘が気になる主婦:館川小梅

娘を残して死んでしまった館川小梅が主人公。

小梅は親戚が犯罪を犯してしまったことで娘の将来を考えて、昔別れた夫に娘を引き取ってもらった。

そのまま死んでしまった小梅は娘が元気でやっているか気になって20年間成仏出来ないでいた。

偶然明と出会った小梅は明に娘が元気でやっているか見てくれるように頼む。

 

明は調査の結果娘が結婚することを小梅に告げる。

小梅は一目娘の花嫁姿を見たいと結婚式場に駆けつける。

娘には霊感があったのか小梅の姿が見ることが出来た。

そうして娘と再会した小梅は娘から感謝の言葉とブーケをもらい成仏していった。

 

兄が大好きな女子高生:鈴置杏奈

明のバイト仲間であり、明の義理の妹である柚の友人の鈴置杏奈。

ある日明と杏奈がバイトをしているお店に杏奈の兄の元交際相手である寧子が現れる。

杏奈の兄と寧子はとても仲が良かったのに急に別れてしまっていたのだ。

 

明は寧子に悪霊がついているのを見つける。

この悪霊は杏奈の幼少期の霊だった。

 

杏奈は幼少期は兄が大好きで友達もいなかったため兄の交際相手の寧子を好きであると同時に妬ましく思う気持ちが心の奥底にあり、その気持ちが悪霊となって寧子に取り付いてしまったのだった。

寧子と兄が別れてしまったのも杏奈の悪霊が原因だった。

 

杏奈は幼少期の自分と対峙し、説得に成功する。

悪霊が消えたことで杏奈の兄と寧子は再びを交際を開始することになった。

 

影が薄い女子高生:三森こずえ

お盆の日に地元に帰ってきた三森こずえは自分のことを思ってくれている人がいなくて途方に暮れていた。

幽霊は自分のことを思っている人がいればそれを感じられるがこずえには何も感じられなかったからだ。

そんなこずえに出会った明。

明はそんなこずえのためにお盆の送り火をする。

 

こずえは明とのふれあいで元気を取り戻す。

元気になったこずえには家族が自分を思う声が聞こえるようになった。

いままではどうせ誰も自分のことなんて考えていないと思っていたので何の声も聞こえなかったのだ。

 

お盆に帰ってきた桃香

一番最初に明が出会った幽霊である幼馴染の桃香。

成仏した幽霊はお盆の日には現世に帰ってくることが出来るのだ。

 

桃香は自分が「生まれ変わる」ことになったと明に告げる。

桃香はあまり長く生きられなかったけど明と出会えて幸せだったと言って本当に最後の別れを終えたのだった。

 

感想

面白かったです。

どれもハッピーエンドで終わるのが何となくわかるので安心して読めますね。

切ない話も多いですがほっこり出来る短編集でした。

 

管理人が一番好きなのはリレーの話です。

幽霊になった野田実栗のためにトップでバトンを渡すメンバーと最後のリレーを必死に走る野田実栗。
ゴールと同時に消えていくところもきれいな終わり方でした。

周囲の人からしたら幽霊は見えないので相当不思議な光景でしょうけど。

 

短編集なので通勤の時のちょっとした時間におすすめできる作品です。

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