【小説】裁く眼|ネタバレ感想と佐藤美理亜の犯行

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我孫子武丸氏の「裁く眼」についてのネタバレ感想記事です。

佐藤美理亜は結局無実なのか否かについても考えたいと思います。

漫画家になり損ね、浅草の路上で似顔絵を描いて生計を立てている袴田鉄雄。あるとき、彼の腕前を見込んだテレビ局の人間から、「法廷画」を描いてほしいという依頼が舞い込む。注文通り描いた絵が、テレビで放送された直後―鉄雄は頭を殴られて昏倒する。彼は一体、何を描いてしまったのか?
BOOKデータベースより

 

ネタバレ

ひょんなことから法定画を描くことになった主人公の袴田鉄雄。

初めて担当することになった裁判では注目を集めた事件が扱われていた。

被告人は佐藤美理亜。

二人の男性に金品を貢がせた上で殺害した容疑をかけられていた。

しかし鉄雄は佐藤美理亜のその美貌から彼女が本当に殺人を犯すような人間なのか疑問を持つ。

 

鉄雄が描いた法定画がテレビで放送された直後、鉄雄は誰かに頭を殴られてしまう。

更に鉄雄と同じく法定画を描いていた聖護院桜も何者かに殺害されてしまう。

 

果たして鉄雄を襲った犯人は誰なのか?佐藤美理亜は無罪なのか?

 

 

 

①鉄雄の頭を殴り聖護院桜を殺害した犯人は?

検察事務官である西岡が犯人。

西岡は被告人である佐藤美理亜の美しさに魅了されてしまい、彼女を無実にするべくわざと後からばれるような証拠を偽造することで検察側の信用を失わせて佐藤美理亜を無罪にしようとした。

そんな中、鉄雄が描いた自分の法定画を見た西岡はその顔が犯罪者のように書かれていることに驚く。

鉄雄が自分の犯行を見抜いた上で、犯罪者のように描いたと思った西岡は鉄雄を始末しようと考える。

聖護院桜から鉄雄の住所を聞き出した西岡は鉄雄を襲撃したのであった。

 

その後鉄雄が襲われたことが明るみに出ると、西岡は聖護院桜に怪しまれてしまう。

そうして西岡は聖護院桜を口封じのために殺害してしまったのであった。

 

なお、鉄雄の描いた絵は色覚に障害がある人が見るとその人の本性が見えるという特殊な性質があった。

西岡も色覚に障害があったため鉄雄が描いた自分の絵が犯罪者のように醜悪なものに見えたのだった。

 

 

②佐藤美理亜は結局無罪なのか?

西岡の偽造もあり殺人罪については証拠不十分により無罪となった佐藤美理亜。

果たして彼女は本当に無罪なのか。

 

ポイントとなるのは鉄雄の描いた絵です。

上述のとおり鉄雄の絵は色覚に障害がある人が見るとその描かれた人の本性が見えます。

警察官である中村も色覚に障害あるため西岡の描かれた絵は犯罪者のように見えたと発言していますが、佐藤美理亜の絵は醜悪どころかむしろ神々しく見えたと発言しています。

この発言だけなら佐藤美理亜は無罪のように感じますが、佐藤美理亜が自分の犯行に罪の意識を何一つ感じていないのなら話は別です。

よって佐藤美理亜は本当は殺人を犯しているが罪の意識がないため鉄雄の絵には現れなかったと考えられます。

 

感想

非常に読みやすかったです。

ほぼ一気読みでした。

1点気になるのは途中で佐藤美理亜が弁護士を通じて鉄雄の絵を褒めるシーンです。
あれはいったい何かの伏線だったのかが気になります。

単純に鉄雄が描いた絵が綺麗に描けていたというだけなのか。

 

本作は「殺戮にいたる病」などのような他作品と比べて犯行シーンが描かれておらず裁判風景がメインのためグロテスクな表現が苦手な人にもお勧めできると思います。

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