【小説】狼と兎のゲーム|ネタバレ感想

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恐怖の追いかけっこ小説というだけでなく最後にどんでん返しがあります。

我孫子武丸氏と言えば「殺戮にいたる病」が有名ですがこの作品も面白いです。

まずはあらすじを抜粋します。

智樹のクラスメイトの心澄望は、警察官の父親から暴力を振るわれて傷が絶えない。夏休みのある日、勤務中の父親のパソコンを壊してしまったと怯える心澄望と智樹がこっそりと家に戻ると、弟の甲斐亜の死体を始末している父親の姿が。慌てて家を飛び出した二人は、迫り来る怪物から逃げ切ることができるか?

「BOOK」データベースより

 

友達の父親からその息子と一緒に逃げるだけなのですがそれがとてつもない恐怖を味わえます。

何故なら捕まったら殺されてしまうからです。

 

智樹の心境がよく書かれているので読者も茂雄に追われる恐怖を一緒に感じることが出来るでしょう。

 

 

ネタバレ

ここからは盛大にネタバレしますので未読の方はご留意ください。

 

 

 

 

本作は最後にどんでん返しがあります。

 

それは心澄望の弟の甲斐亜を誰が殺害したのかという部分。

 

茂雄が甲斐亜の死体を埋めているところを智樹の視点で読者は目撃します。
そのことから茂雄の普段の暴力的な行動と異常な性格が相まって茂雄が甲斐亜を殺害したのだと読者は錯覚させられます。

 

しかし最後にそれは違っていたことが明らかになります。

 

甲斐亜を殺したのは心澄望でした。

 

心澄望と甲斐亜は茂雄の不在中に茂雄のパソコンを壊してしまいました。
そうして父に暴力を振るわれる恐怖から言い争いになりはずみで心澄望は甲斐亜を殺してしまったのでした。

心澄望はそのことを智樹に隠して茂雄から逃げる手伝いを要請したというのが真相でした。

つまり茂雄が殺害したのは妻(心澄望と甲斐亜の母親)のみで、甲斐亜を殺害したのは心澄望なのでした。

 

感想

最後のどんでん返しは驚きでした。

確かに茂雄は甲斐亜の死体を埋めているシーンは描かれているだけで犯行シーンは描かれていないんですよね。

茂雄の異常な性格が事前に書かれていたために見事に錯覚させられてしまいました。

 

そしてちょっと茂雄が怖すぎです。

暴力的であることはもちろんなのですが、それだけでなくその行動を正当化する茂雄の思考パターンが恐ろしいです。

本作は茂雄の視点で書かれているパートもあるので茂雄が何を考えているのかが明らかになります。

その中で茂雄は自身が暴力を振るう理由を妻や子供が陰気な性格だからいけないと考えています。

むしろ自分自身は妻や子供たちのせいで暴力を振るわされていると考えているくらいなのでした。

このように茂雄の異常な思考が書かれているため、追いかけられる智樹視点ではハラハラドキドキ出来て楽しめるのでした。

 

智樹が茂雄を見張っているところはどうか見つからないようにと思わず読みながら祈ってしまいますね。

 

未読の方はぜひ読んでみて下さい。

 

 

 

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