【小説】ぼくときみの半径にだけ届く魔法|詳細ネタバレ感想

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七月隆文さんの作品「ぼくときみの半径にだけ届く魔法」のネタバレ感想記事です。

あらすじ
売れない若手カメラマンの仁はある日、窓辺に立つ美しい少女を偶然撮影する。少女の名は陽。難病で家から出られない彼女は、白い部屋の壁に風景の写真を映して眺める日々を送っていた。「外の写真を撮ってきて頂けませんか?」陽の依頼を受け、仁は様々な景色を撮って届けることになる。それは運命の出会い。ふたりの人生が奇跡のように変わり始める瞬間だった―。光で描く、心震えるラブストーリー。
BOOK」データベースより

 

ネタバレ

売れない若手カメラマンの須和仁(すわじん)が街で写真を撮っていると、偶然家の窓から顔を出していた幸村陽(ゆきむらはる)を撮影する。

仁は撮影した陽の写真が素晴らしい出来だと感じたため陽に写真の使用許可を求めにいく。

営業用の見本や商用に使いたいと考えたためだ。

 

それが二人の出会いだった。

陽は仁が撮影した自分の写真を気に入り、仁に使用許可を与えるとともに、自分は病気のため外に出ると発作が起きてしまうということを告げる。

陽の病気は外に出たら発作が起きるだけでなく、外に強いストレスを感じるだけで発作が起きてしまう厄介なものであった。

そして陽は仁に写真の使用許可を与える代わりに外に出られない自分のために街の風景を撮影して定期的に自分に見せてくれるようにお願いする。

仁はその願いを快く了承する。

 

仁が撮った陽の写真は奇跡の一枚とも言える出来で、それを見本に営業を開始した仁は今までの不振が嘘のように仕事を取ることが出来た。

陽に何とかお礼をしたいと考えた仁は外に出れない陽のために写真を撮るだけでなく撮影したケーキ店のケーキを買って陽にプレゼントしたりと陽の依頼以上に甲斐甲斐しく世話を焼いた。

 

そんな仁に陽は惹かれていった。

しかし仁は陽に恋愛感情はなく純粋に病気で困っている陽に何かをしてあげたいという思いと、陽の写真のおかげで仕事が上手くいっているという感謝の気持であった。

そんなある日陽が行動を起こす。自分は仁に恋をしているが外に出たらすぐ発作が起きているような身体では仁と結ばれることはない。

そう考えた陽は決死の覚悟で家から飛び出して仁から聞かされていた星が綺麗に見えるスポットまで一人で行くことにした。

陽は一人でそこで死ぬつもりだったのだ。

仁は陽を探し出すため何度も仁に電話をかける。

ようやくつながった電話でどこにいるのかと聞く仁に陽が答えたのは仁のことが好きだということであった。

仁は自分の写真が最近評価されているのは知らず知らずの内に陽のためにという思いが写真に入り込んでいて、そのおかげでいい写真が撮れているのだと気付いていたため陽の想いにこたえて自分も好きだと伝えるのであった。

 

両想いとなった仁と陽。さらに良いことに陽の病気は仁の自宅に外出できるくらいまでに回復した。

 

それから数年の時が流れて仁はプロポーズをし二人は婚約することになる。

 

仁が陽の両親に挨拶をしたいと言うと頑なに拒む陽。

陽の両親と妹は陽が発病してから出来る限りの治療を施したが陽の病気が良くならず、自分たちもこれ以上陽と一緒にいるのは限界だと考えて執事と使用人を残して家を出ていってしまっていたのだ。

そんな経緯があったため陽は両親に結婚の報告をするのを躊躇していた。

しかしそのままではいけないと思った仁は単身で陽の両親と妹に結婚の報告をしにいく。

 

色々な確執があったものの最終的に家族全員が和解することに成功し、さらに陽の病気の原因も判明する。

陽の妹の日菜は幼いころから体が弱く陽の両親は陽よりも日菜を優先していた。

幼い陽は日菜が優先されている状況に寂しさを感じていた。

そんなある日、陽は病気になってしまった。

病気になった陽に両親や妹はとても優しく接してくれた。

みんなが優しくしてくれることに喜びを感じた陽はこのまま自分の病気が治らなければいいと考えてしまった。

そこから陽は心の病気にかかりちょっとしたことで発作を起こす体になってしまったのであった。

 

そこから更に年月は経ち須和仁の写真展が賑わいを見せていた。

その写真展は仁の妻である陽をモデルにしたものであり、そこには二人の出会いのきっかけとなった窓越しの写真も掲載されていた。

他にも陽がケーキを食べている写真、花火を持っている写真、車の助手席に座っている写真が展示されていた。

展示が進んでいき最後の章になると陽だけの写真ではなくなっていった。

そこには陽と仁のツーショット写真、陽と家族の写真、陽と仁の二人が友人に囲まれた結婚写真が展示されていた。

そして最後の写真は陽が我が子を抱いて微笑んでいる写真で締めくくられていた。

 

感想

普通に感動しました。

特に最後の一行に。すべてをあきらめていた陽が結婚式を挙げて子供まで授かって本当に良かったと。

 

恋愛小説なのですが陽と仁が両想いになるのは中盤くらいでそこから先は陽の病気と二人がどのように向き合っていくのかがメインになります。

外に出れない陽が子供を育てられるのか、結婚式が出来るのか、そういった葛藤がありながらも仁は陽に一緒にいて欲しいと告げます。

そこから陽と家族の関係性が病気の原因であることがわかり陽の病気は無事に治ります。

そうして陽は自らが諦めていた結婚式や出産など普通の女性と同じような経験をすることができたのでした。

仁は陽の病気が治って欲しいと思うものの仮に治らなかったとしても陽を生涯支えていく覚悟が出来ていました。

この覚悟が陽を安心させたのは言うまでもないことだと思います。

著者の代表作である「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」が切ないラストであるのに対してこちらは完璧なハッピーエンドでした。

管理人個人としては恋愛小説はハッピーエンドの方が好きなのでこちらのほうが好きな作品かもしれません。

恋愛小説を最近読んでいないという方はぜひ一度読んでみて下さい。

 

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