【小説】頼子のために|法月綸太郎シリーズのネタバレ感想

小説

法月綸太郎シリーズの最高傑作と呼び声の高い作品です。

その評価に違わぬ一冊でした。

あらすじ
「頼子が死んだ」。十七歳の愛娘を殺された父親は、通り魔事件で片づけようとする警察に疑念を抱き、ひそかに犯人をつきとめて刺殺、自らは死を選ぶ―という手記を残していた。しかし、手記を読んだ名探偵法月綸太郎が真相解明に乗り出すと、驚愕の展開が。著者の転機となった記念碑的作品。長く心に残る傑作!
「BOOK」データベースより

個人的には何となくイメージが東野圭吾さんの悪意にかぶる作品です。
※内容は全く違いますが。。

ネタバレ

本作も他の法月綸太郎シリーズと同じようにかなり二転三転して最後まで読者を楽しませてくれます。

なかなか込み入った話なので登場人物とともに内容を整理していきます。

ここからは犯人も含めて盛大にネタバレしていきますので未読の方はご留意ください。

登場人物

メインの登場人物一覧です。

・西村悠史
本作の主人公というべき存在。

妻の海絵と娘の頼子とともに暮らす。

柊伸之と西村頼子を殺害した犯人。

悠史は妻である海絵を何よりも愛していた。そのため妻の下半身が不随になった原因を作った頼子のことを心の底で憎んでいた。
※後述

頼子を突発的に殺害した後、その罪を柊に着せる形で殺害し自身は自殺をしようとしたが未遂に終わった。

自殺する決意があったにも関わらず柊に罪を着せたのは頼子を殺したことが最愛の妻に知られて幻滅されるのを恐れたため。

そのため柊を犯人に仕立て上げてその復讐を保つことで妻からの愛を保とうとした。

最後は法月綸太郎に全てを見抜かれて本当に自殺した。

・西村頼子
被害者。

実の父である悠史に殺害された。

そもそもの悲劇の発端は14年前の交通事故にあった。

車道に飛び出した頼子を海絵がかばったことで海絵は車に轢かれて下半身不随になってしまう。

最愛の妻をそのような状態にした原因を悠史は頼子に求めた。

その結果悠史は表面上はともかく心の底では頼子を憎むようになった。

そんな悠史の態度は娘である頼子に伝わり、頼子は悠史の愛情を求めるようになった。

そして頼子は思い切った行動に出る。

頼子は酔っぱらった悠史が帰ってきた時に悠史と性行為があったかのように見せかけて、後日妊娠証明書を見せて悠史との間に出来た子供だと告げたのだ。

そんな頼子の行動にカッとなった悠史に頼子は絞殺されてしまったのだった。

・西村海絵
悠史の妻であり頼子の弟。

本作の黒幕ともいうべき存在。

14年前の事件で下半身不随になってしまう。

彼女は全てを知った上で夫である悠史の自分への愛情を試すために悠史を操り人形にしこのような事件を起こさせた。

・五十嵐民雄
14年前の事故で西村海絵を車で轢いてしまった張本人。

・法月綸太郎
探偵。全ての謎を解く。

・松田卓也
頼子の友人。

・柊伸之
頼子の学校の先生。頼子と肉体関係があり頼子を妊娠させた。

悠史には頼子殺害のスケープゴートとして殺害された。

・森村妙子
西村家に勤める海絵の付き添い。

抑圧された生活をしている悠史を見て一度肉体関係を誘ったことがある。

事件

本書は3つの事件が絡みあった話になります。

今度は登場人物視点ではなくて事件別に見ていきたいとおもいます。

・14年前の交通事故

西村海絵が下半身不随になってしまった交通事故。

全ての始まりと言えます。

車道に飛び出した頼子を海絵がかばい下半身不随になってしまった。

ちょうどその時に悠史が事故現場を通りかかり事故を目撃してしまったことで、交通事故の原因が頼子にあると考えて頼子を恨む原因になった。

海絵を何よりも愛していた悠史は下半身不随の原因を頼子が車道に飛び出したことにあると考えたためだ。

しかし最終的に頼子が車道に飛び出したのは反対車線から見えた父である悠史の車が見えたためで、お父さんに気付いてもらいたくて車道に飛び出したことが綸太郎の推理にて明らかになります。

つまり頼子は幼いころから父である悠史の愛情に飢えていたのです。

・西村頼子殺害事件

真犯人は父である西村悠史。

しかし西村悠史は自身の手記を利用し、柊が犯人であるかのように仕立て上げた。

その理由は最愛の妻である海絵の愛を失いたくないから。

そもそも事件の発端は父の愛情に飢えていた頼子が、悠史が酔っぱらっている間に性行為を行ったかのように見せかけて後日妊娠証明書を悠史の前に叩き付けたため。

悠史はその行動に怒りを感じて頼子を絞め殺してしまった。
※なお頼子のお腹の子どもの本当の父親は柊。

頼子を絞め殺してしまった悠史は最愛の妻の海絵に幻滅されることを恐れて、手記を活用して柊を犯人に仕立て上げたのであった。

柊伸之殺人事件

犯人は西村悠史。

頼子を殺害してしまった悠史が妻に幻滅されるのを恐れて、柊を反対に仕立て挙げた。

そして頼子を殺害された(実際に殺害したのは悠史だが)復讐かのように見せかけて柊を殺害したのであった。

犯人に偽装させられて殺害されたので被害者のように感じるが、教え子である頼子に手を出して実際に妊娠させているので同情の余地はないといえる。

頼子を発作的に殺害してしまった西村悠史は自殺する決意があったにも関わらず、あえて柊を犯人に仕立て上げて、柊を殺害した上で自殺をしようとしたのは妻である海絵の愛を失いたくなかったから。

最愛の娘の頼子を殺してしまったとあれば海絵から幻滅されることは目に見えていたので、柊を犯人に仕立て上げ復讐を遂げた後に自殺をするというストーリーを考えたのであった。

感想

全ての黒幕は西村海絵であるというのが最後の結論でした。

しかし果たして他の人物をここまで意のままに操れるものなのかは気になるところでもあります。

ただしそこまでの展開は間違いなく面白かったです。

これだけ大々的に読まされたので西村悠史の手記には何らかの裏があるとは思いましたが、このような結末だとは思いませんでした。

タイトルは「頼子のために」ですがそれ自体もフェイクで本当は「海絵のために」ですね。

法月綸太郎シリーズの最高傑作という呼び声もあるだけあってページをめくる手が止まらない一冊でした。

未読の方はぜひ読んで下さいね。

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