【小説】生首に聞いてみろ|法月綸太郎シリーズのネタバレ感想

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法月綸太郎シリーズ。

相変わらず安定して面白いです。

あらすじ
首を切り取られた石膏像が、殺人を予告する―著名な彫刻家・川島伊作が病死した。彼が倒れる直前に完成させた、娘の江知佳をモデルにした石膏像の首が切り取られ、持ち去られてしまう。悪質ないたずらなのか、それとも江知佳への殺人予告か。三転四転する謎に迫る名探偵・法月綸太郎の推理の行方は―!?幾重にも絡んだ悲劇の幕が、いま、開く。
「BOOK」データベースより

 

ネタバレ

本作は彫刻に関する色んな知識がちりばめられておりその観点から見ても楽しめます。

さて、まずはいつものように登場人物の紹介を軸にネタバレをしていきます。

 

これ以降は犯人も明らかにしていきますので未読の方はご留意ください。

 

登場人物

メインの登場人物の一覧です。

・川島江知佳(カワシマエチカ)
本作のヒロイン。亡くなった彫刻家川島伊作の一人娘。
若い、美人、賢いと探偵の助手を務めるのにぴったりの役柄なのに殺害されてしまうのは驚きました。

好きなキャラだったのに残念。

なお父伊作の遺作となる自分の彫刻の首を切り落としたのは江知佳自身。

・川島伊作
江知佳の父親。故人。有名な彫刻家。
かつて妻の殺害をサポートするという人として犯してはいけない罪を犯した。
しかし後に弟敦志との会話から各務夫妻に騙されたことに気づいた伊作は遺作となる彫刻に各務達が犯人である証拠を残してこの世を去る。
※後述

・川島敦志
翻訳家。法月綸太郎とは仕事上の付き合い。
すごい怪しいにおいが漂っていたのに結局最後まで犯行には何も関与していなかった人。

 

・川島律子
伊作の妻。実の妹である各務結子とその夫である各務順一に殺害される。

・各務順一
川島江知佳殺害事件の犯人。妻である各務結子と共謀して犯行を行った。
またそれ以前に川島律子も殺害しており、真っ黒な人物。

・各務結子
各務順一の妻であり川島律子の実の妹。昔から姉の律子に対抗意識を持っていた。
各務順一の経営する病院が経済的に苦しくなったことを契機に、姉の律子を自身の身代わりに仕立てて殺害し、保険金をせしめる案を思いつく。

それを各務順一と共謀して行い、自分は律子になりすまし、伊作の妻役を演じた後に離婚し、再度川島律子として各務順一と結婚する。

なお伊作が各務夫妻に手を貸したのは律子が自分の弟の敦志と浮気をしたと勘違いしたため。

そのため伊作は律子に対して怒りを覚えて各務夫妻に手を貸して、結子が律子になりすましたことに対して何も言わなかった。

しかし敦志との対話で敦志が律子と関係がなかったと知った伊作は自分が各務夫妻に騙されていたことに気づく。

そして遺作である彫刻象に各務夫妻の犯行をほのめかすメッセージを入れたのであった。
※後述

・宇佐美彰甚
美術評論家。伊作の作品を評価しており伊作の作品のプロデュースを担っている。
色々怪しい人物だったが結局犯行には関与せず。

 

・堂本峻
プロのカメラマンだが、盗撮した写真をもとに脅し行為をしたりと評判がよくない。
当初彫刻の首を切り取った犯人と目されていたが、実際は切り取ったのは江知佳であった。
堂本は江知佳から彫刻の首を一時的に預かっていただけ。


・田代周平
法月綸太郎の後輩。プロのカメラマン。何か事件に絡んでいそうな感じを匂わせながら結局最後までいい人だった。

・法月綸太郎
本作の探偵役。
知人の川島敦志を通じて伊作の遺作である彫刻の首を切り取った犯人を突き止めるように依頼される。
その後はどんどん事件に巻き込まれて、江知佳を殺害した犯人が各務夫妻ということだけでなく、過去の川島律子殺害事件の謎まで明らかにした。

 

疑問点まとめ

一読しただけではわかりづらいところをQ&A方式でまとめていきます。

 

Q1
結局彫刻象には元から頭があったのか?
そしてあったとすれば切り取ったのは誰なのか?

 

A1
彫刻象には頭があった。
しかしそれはモデルとなった江知佳の頭ではなくて彫刻家伊作の亡き妻である律子の頭部であった。
そしてその頭部を切り取ったのは江知佳である。

Q2
なぜ江知佳は彫刻象の頭部を切り取ったのか?

A2
彫刻象の頭部はモデルの江知佳ではなく母の律子のものだった。
そしてその律子の頭部の目は開いていた。
本来彫刻象の頭部の目が開いていることはありえない。
なぜなら生きている人間であればモデルの型を取る際にどうしても目をつぶった状態になるからだ。

江知佳は律子の目が空いた頭部の彫刻を見て、本当の律子は死亡していることに気づく。
※死んだ人間であれば目を開いたまま型を取ることが出来る。

本当の律子が死んでいるのであれば現在各務順一と再婚した律子は本物ではないことになる。
とすると怪しいのは律子の実の妹の結子しかいない。

結子が律子になりすましていることを知った江知佳は当然各務順一も怪しいと考えて、二人と対峙することにする。

その際に本物の律子が死んでいることの証明として律子の目が開いた彫刻の頭部を切り取って持っていったのであった。

結果犯行が露見するのを恐れた各務順一と結子に江知佳は殺害されてしまう。

Q
各務夫妻が江知佳の首だけを切り取ったのはなぜか?

A3
江知佳の彫刻象の首が切り取られたことを知っていた各務夫妻はその事実を何とか利用しようと考えた。
そして彫刻の首が切り取られたのは江知佳への殺害予告だったと見せかけるために江知佳の首だけを切り取ったのであった。

Q4
律子は誰の子供を身ごもっていたのか?

A4
律子は各務順一の子供を身ごもっていた。
これはすべて各務順一と結子が計画したこと。
二人の計画の概要は以下。
①順一が律子を妊娠させる。
②律子を唆し結子名義の保険証で産婦人科の診察を受けさせる。
③律子を保険金目的で殺害する。
④結子名義の保険証で診察したことにより結子は妊娠したというデータがあるので律子の死体は結子として処理される。
⑤結子にかけていた保険金を受け取る。
⑥結子は伊作の協力を得て律子になりすます。
※伊作は律子が自分の弟の敦志の子供を妊娠したと勘違いしていたので裏切られたと思い律子に殺意を抱いていた。

Q5
伊作と敦志の不仲の原因は何であったのか?

A5
伊作が律子と敦志が関係があったと勘違いしていたことが原因。
しかし伊作がガンになった際に敦志と二人で対話をし敦志と律子は関係がなかったことを理解する。

そして各務夫妻に騙されたことに気づき、二人に最後の復讐をするために遺作となる彫刻象の頭部に目の空いた律子の頭部をすえて、本当の律子は死んでいることを明らかにしようとした。

 

感想

率直に面白かったです。

しかしこの入れ替わりのネタは、同じ法月綸太郎シリーズの「誰彼」と同じですね。

途中のミスリードも含めて最後まで展開が読めずに楽しめました。

未読の方はぜひ一読下さいね。

 

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