【小説】法月綸太郎の功績|法月綸太郎シリーズのネタバレ感想

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法月綸太郎シリーズの「法月綸太郎の功績」についてのネタバレ感想記事です。

短編集ですがどの話もクオリティが高くて面白かったです。

あらすじ
殺人事件の被害者が残した「=Y」の文字は、はたして何を意味するのか!?エラリイ・クイーンへのオマージュである、ダイイング・メッセージものの傑作「イコールYの悲劇」、第55回日本推理作家協会賞受賞作「都市伝説パズル」など、ロジカルな推理が堪能できる本格ミステリ五編を収録した、ファン待望の作品集。
「BOOK」データベースより

 

ネタバレ

本作は5つの短編で構成されています。

 

一つ一つの短い話の中によくこれだけ面白いネタを詰め込めるなと感心するほどのクオリティです。

 

それでは早速各話ごとにネタバレしていきます。

 

犯人やトリックも明らかにしていきますので未読の方はご留意ください。

 

イコールYの悲劇

<登場人物>

・坂崎翠
犯人。坂崎庸介と協力し実の妹の茜を殺害した。
茜を殺害した動機は二つ。

①夫の庸介が会社のお金を横領した分の穴埋めをするために茜の死亡保険を利用するため。
②茜が庸介とかつて関係をもったことがあるのでその怨恨を晴らすため。

・坂崎庸介
犯人。坂崎翠と協力し東郷ゆかりを殺害した。庸介はほぼ翠のあやつり人形であった。

・足立茜
被害者。実の姉の翠に殺される。翠が犯人であることを示すダイイングメッセージを残す。

・仁科真弓
庸介の浮気相手。庸介と翠のアリバイ作りに利用された。

・円谷朱美
坂崎家の隣に住む主婦。

・東郷ゆかり
翠の大学時代からの親友。翠とコンタクトを取るために坂崎家に電話をした際に、留守番をしていた茜と会話をする。
茜と会話をしたことが原因で坂崎庸介に殺害される。

<事件の概要>

第1の事件:足立茜殺害事件
坂崎庸介が会社のお金を横領した穴埋めをするために茜の保険金を目当てに坂崎夫婦が協力し殺害した。
実行犯は翠。庸介の浮気相手の真弓をアリバイ作りに利用した。

なお茜は犯人が翠であることを示すダイイングメッセージを残す。

第2の事件:東郷ゆかり殺害事件
坂崎家で留守番をしている茜と電話で会話をする。茜はその後に殺害された。
東郷ゆかりの証言と茜のダイイングメッセージが合わされば翠が犯人であることを特定されると考えたため、翠が命じて庸介が口封じのため殺害した。

 

中国蝸牛の謎

<登場人物>

・鹿沼隆弘
小説家。事件の犯人にして被害者。つまりは自殺。
妻の香澄と担当編集者の南条が浮気をしていることを知る。
自身も末期がんであり、長くは生きられない命だったがこのままでは死にきれないと考えて、南条に罪を着せる形で自殺をした。

・南条祐介
鹿沼隆弘の担当編集者。鹿沼の妻の香澄と浮気をしている。

・香澄
鹿沼隆弘の妻。南条と浮気をしている。

<事件の概要>

大御所作家の鹿沼隆弘が自殺をした事件。
鹿沼は妻と担当編集者の南条が浮気をしていることに気付く。
しかし自身はガンにおかされており残りの命は少ない。

このままでは死んでも死にきれない鹿沼は南条に罪を着せる形で自殺をした。

なおその際に南条を犯人に指名する役として法月綸太郎が呼ばれた。

法月綸太郎は鹿沼の思惑通りにはならずに事件が鹿沼の自殺であることをあばいた。

 

都市伝説パズル

<登場人物>

・松永俊樹
被害者。理学部の2年生。違法ドラッグをこっそり仲間内で売りさばいていた。
コンパは松永の自宅で開催されて、お開きになった後はそのまま自宅で寝ていた。
しかし違法ドラッグを盗もうとした関口玲子がこっそり部屋に侵入してきた際に起きてしまい、もみ合いになり、殺害されてしまう。

 

・野崎哲
理学部2年生。松永家で開催されたコンパがお開きになった後は交際相手の長島ゆりかの自宅に行った。

・三好信彦
法学部2年生。コンパの際に松永と言い争いになった。そのため一足早く松永家を出て行った。

・長島ゆりか
文学部2年生。松永家で開催されたコンパがお開きになった後は交際相手の野崎哲と一緒に自宅に行った。

・遠藤章明
経済学部1年生。松永家で開催されたコンパがお開きになった後は一人で自宅に帰宅した。

・広谷亜紀
文学部1年生。松永家で開催されたコンパがお開きになった後は親友の関口玲子と一緒に帰宅したが、途中で携帯を忘れたことに気が付く。
そこから関口玲子の自転車を借りて松永家に一人で取りに戻る。
松永は寝ており、家は真っ暗だった。
しかしカギは開いていたため松永を起こさないようにそっと入り携帯だけを回収した。
その後は関口玲子と合流し帰宅した。

・関口玲子
犯人。経済学部1年生。松永から違法ドラッグを購入していた。
松永家で開催されたコンパがお開きになった後は親友の広谷亜紀と一緒に帰宅しようとしたが、亜紀が携帯を松永家に忘れたため、玲子は自分の自転車を亜紀に貸した。
亜紀が戻るまでは駅前のドーナツ・ショップで亜紀を待っていた。

合流した亜紀から松永家のカギが開いていること、松永は寝ていて自宅が真っ暗であることを聞かされる。

亜紀と別れた後は松永から違法ドラッグをこっそり盗むために松永家に向かう。
無事松永家に侵入できたが、松永が起きてしまい、もみ合いになり松永をはずみで殺してしまう。

玲子は自らの犯行を隠ぺいするために、都市伝説になぞらえて「電気をつけなくて命拾いしたな」というメッセージを松永家に残していく。

このメッセージは犯人が亜紀が松永家に携帯を取りに戻った際に部屋にいなければ書けないメッセージであると考えられたため、犯行時刻は亜紀が携帯を松永家に取りに戻った時間と特定された。
そしてその時間にドーナツ・ショップにいた玲子はアリバイを手にすることが出来た。

<事件の概要>

都市伝説になぞらえた「電気をつけなくて命拾いしたな」というメッセージがキーポイントになる。
このメッセージは明らかに亜紀に向けて書かれたものであり、そして亜紀が携帯を取りに戻った時に犯人が部屋にいることがこのメッセージを書くことが出来る条件であったため、亜紀が携帯を取りに行っている間にドーナツ・ショップにいた玲子は完璧なアリバイを手にすることが出来た。

しかし法月綸太郎のこのメッセージがあることで一番得をするのは誰かという疑問から一番得をするのはこのメッセージにより完璧なアリバイを手にする玲子であることに気が付く。

そして玲子は亜紀からドーナツ・ショップで松永家はカギが開いていたことや、家が真っ暗であったことを聞いていたので、犯行現場にいなくても後からこのメッセージを残すことが出来ると気が付き、玲子の犯行を暴いた。

ABCD包囲網

<登場人物>

・鳥飼俊輔
鳥飼千秋の夫。千秋と協力して塚本公彦を殺害した。

・鳥飼千秋
鳥飼俊輔の妻。俊輔と協力して塚本公彦を殺害した。
塚本公彦の事件の実行犯。足が不自由であると見せかけるために車いすを利用している。

・磯部朋代
殺人事件の被害者。鳥飼俊輔は殺してもいない磯部朋代の事件の犯人であると主張した。
なお実際の真犯人は別にいる。

・飯島タツオ
飛び降り自殺をした男性。正真正銘の自殺だが鳥飼俊輔は自身の犯行であると主張した。

・塚本公彦
駅のホームから転落死した。鳥飼俊輔は自身の犯行であると主張した。
しかしこの事件の本当の犯人は俊輔の妻の千秋。

俊輔はこの事件を隠すために様々な事件で犯人であると主張し、警察を混乱させようとした。

<事件の概要>

事件の発端は、妊娠していた千秋を塚本が突き飛ばし、子供を流産させてしまったことによる。
その後執念で塚本の居場所を突き止めた千秋は復讐計画を練る。

その千秋の復讐計画に気付いた俊輔は協力を買ってでる。
そのため様々な無関係な事件の犯人が自分であると主張し警察をかく乱した。

俊輔の行動に警察の目を向けさせておいて、千秋が塚本を駅のホームから突き落として殺害した。


縊心伝心

<登場人物>

落合聡美
事件の被害者。自殺に見せかけて殺害された。諏訪祥一と浮気をしていた。

・諏訪祥一
落合聡美の浮気相手。
聡美の自殺をすると狂言を言われて自宅に駆け付けると聡美が死亡していた。

・聡美の母親
この事件の犯人。はずみで娘の聡美を殺害してしまう。

<事件の概要>

この事件の発端は過干渉気味である聡美の母親が聡美の自宅に盗聴器をつけたことによる。

盗聴器をつけたのが母親であることに気付いた聡美は母親をおびき出すことにする。

そのために祥一に自殺をするという嘘の電話をかけて盗聴している母親を自宅までおびき出す。

母親の過干渉に飽き飽きしていた聡美は母親と言い争いになる。

そしてはずみで母親が聡美を殺害してしまい、首つりに見せかける偽装工作をしたのであった。

法月綸太郎が盗聴器を仕掛けられていることに気付き事件の本質を暴いた。

 

感想

短編集なのですが、一つ一つの内容が濃いので下手な長編よりはるかに面白いです。

個人的に一番好きなのは「都市伝説パズル」です。
メッセージを書いたことによって一番得をするのは誰なのかという問いに対する綸太郎の検討の進め方非常に綺麗でした。

未読の方はぜひご覧ください。

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