【小説】ロシア紅茶の謎|作家アリスシリーズの短編ネタバレ感想

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有栖川有栖氏による作家アリスシリーズの一つ「ロシア紅茶の謎」のネタバレ感想記事です。

本作は6つの短編で構成されています。

どの話も不可解な死の謎を犯罪臨床学者で名探偵の火村英生とミステリ作家で助手の有栖川有栖のコンビが解き明かします。

 

あらすじ
作詞家が中毒死。彼の紅茶から青酸カリが検出された。どうしてカップに毒が?表題作「ロシア紅茶の謎」を含む粒ぞろいの本格ミステリ6篇。エラリー・クイーンのひそみに倣った「国名シリーズ」第一作品集。奇怪な暗号、消えた殺人犯人に犯罪臨床学者・火村英生とミステリ作家・有栖川有栖の絶妙コンビが挑む。
「BOOK」データベースより

 

 

 

ネタバレ

ここから6つの短編ごとにネタバレしてきますので未読の方はご留意ください。

 

 

動物園の暗号

動物園の猿山の中で動物園の飼育員の死体が見つかった。

そして死体の手には暗号を書いた紙が握られていた。

果たして暗号は容疑者5人の中の誰を指し示すのか。

 

<登場人物>

・中糸郁夫

容疑者の一人。ベテランの飼育係。

 

・白鳥あずさ

容疑者の一人。ベテランの飼育係

 

・乾令二

容疑者の一人。若手の飼育係

 

・緒方虎三

容疑者の一人。獣医。

 

・アニマル岡田

容疑者の一人。動物のものまねが得意な芸人。

動物を観察するために動物園に来ていた。

 

・太田善治

事件の被害者。飼育係。

夜間勤務中に何者かに頭を鈍器で殴られて猿山に突き落とされた。

 

<事件の真相>

事件の犯人は白鳥あずさ。

白鳥は太田に弱みを握られており、金銭を要求されていたため殺害した。

太田が握っていた暗号は駅の名前であり、その駅を結ぶと日本の路線図が2つ浮かび上がってくる。

その路線図を走る特急列車の名前の一つは「白鳥」、もう一つは「あずさ」で犯人である白鳥あずさの名前を指し示す暗号であった。

 

屋根裏の散歩者

平屋のアパートを経営する五藤甚一が何者かに殺害された。

自らも経営するアパートに住む甚一は夜な夜な屋根裏に上がり込み住人たちの生活を屋根裏から覗き見る歪んた趣味を持っていた。

のぞき見により住人の一人が連続殺人犯だと知った甚一はその犯人をゆすろうとするが逆に殺害されてしまった。

甚一は屋根裏から除いた様子を日記にメモしていたが、住人のことをニックネームで書いてあり誰が犯人なのかわからなかった。

ニックネームは「大」「太」「く」「ト」「I」の5つ。甚一の日記を読む限り「大」が犯人なことは明らかになっているが、住人の内、誰が「大」なのかはわからなかった。

 

<登場人物>

・五藤甚一

事件の被害者。

アパートの経営者。自らが経営するアパートの屋根裏に上がり他の住人の生活を屋根裏から覗き込み日記にメモする趣味を持っていた。

ある日住人の一人が連続殺人犯だと知った甚一はそれをネタに金銭を要求するが逆に殺害されてしまった。

 

・田中芳信

第一発見者。大学2年生。ラグビーをしていて体格が良い。

 

・叶克彦

大学1年生。華奢な体格。

 

・黒井武明

30歳の塾講師。

 

・二宮隆一郎

フリーター。24歳。

 

<事件の真相>

日記に書いてあるニックネームは甚一が屋根裏から覗き見た時の各自の寝相を文字にしたものであった。

探偵である火村が夜中に甚一と同じように屋根裏にあがり覗き見たところ寝相を表していることが明らかになった。

そこで大の字に寝ている叶が犯人であることがわかった。

 

 

赤い稲妻

マンションからモデルの女性が転落死した。

向かいのマンションの目撃者の話ではベランダにもう一人いたというが、通報を受けた警察がマンションに踏み込んだ時には部屋はチェーンロックされており、こじ開けて中に入るも誰もいなかった。

果たして突き落とした犯人はどこにいったのか。

 

<登場人物>

・ジェニファー・サンダース

日本で暮らすアメリカ人のモデルの女性。

マンションから転落死する。

 

・田宮孝允

ジェニファーの愛人。

 

・田宮律子

孝允の妻。ジェニファーが転落死したのと同じ日に車に乗車したまま踏切で停車していたため、電車と接触して死亡してしまった。

 

<事件の真相>

田宮律子は夫の愛人であるジェニファーのマンションに行き話をしていた。

しかし口論になり律子はジェニファーをマンションから突き落としてしまう。

混乱した律子は自らもジェニファーの後を追いマンションから飛び降りる。

チェーンのロックがしてあるにも関わらず室内に誰もいなかったのは律子がマンションから飛びおりてしまったためだ。

遅れて現場に到着した孝允は事件を隠ぺいするために、妻の律子を電車の事故で死亡したように偽装したのであった。

 

ルーンの導き

パーティーの最中に一人の男が殺害された。

パーティーに招かれたメンバーはほとんどが初対面で殺害の動機はないはずだったのに一体何がきっかけだったのか。

 

また被害者の手にはルーン文字が刻まれた4つの石が握られていた。

4つの石はダイイングメッセージだと思われるが誰を示すものなのか。

 

 

<登場人物>

・ウルリッヒ・フローゼ

パーティーを開いた自宅の主。

 

・アンベルティーネ夫人

ウルリッヒ氏の妻。

 

・アンナ・レネ

パーティーに招かれたフランス人。

 

・ジョージ・ウルフ

大学の先生。

 

・辻佐治

編集者。

 

・サイモン・リー

事件の被害者。手にはルーン文字が刻まれた4つの石が握られていた。

 

<事件の真相>

辻は妹が交際していたサイモン・リーに捨てられた自殺した過去があったため、サイモンを恨んでいた。

そのことについて辻はサイモンに問い詰めた結果、口論になり殺害してしまった。

サイモンが握っていた4つの石のルーン文字に意味はなく4つという数字に意味があった。

4は「国際標準図書番号」において日本を表す番号であったからだ。

パーティーに招かれた人物の中で唯一の日本人である辻を示していたのであった。

 

ロシア紅茶の謎

本書のタイトルにもなっている話。

パーティーの最中に一人の男が毒殺された。

飲んでいたロシア紅茶に毒が入っていたのだ。

容疑者はその場に居合わせた5人。

果たして紅茶に毒を入れたのは誰なのか?

 

<登場人物>

・奥村丈二

35歳。

事件の被害者。

パーティーは奥村の自宅で行われていた。

わがままな性格でパーティーに参加したメンバーからは恨みを買っていた。

 

・奥村真澄

奥村の妹。29歳。

みんなの分のロシア紅茶を入れた。

 

・金木雄也

38歳。イラストレーター。

狙っていた女性に対して奥村丈二があることないこと吹き込んだため失恋してしまい奥村を恨んでいた。

 

・桜井益男

35歳。コンピュータープログラマー。

恋人を奥村に奪われたため奥村を恨んでいた。

 

・内藤祥子

24歳。インテリアデザイナー。

奥村に振られたため奥村を恨んでいた。

奥村のロシア紅茶に砂糖を入れた。

 

・円城早苗

23歳。モデル。

奥村に振られたため奥村を恨んでいた。

みんなにロシア紅茶のカップを配った。

 

<事件の真相>

犯人はモデルの円城早苗。

円城をカップを配る直前に窓の外に隠しておいた毒入りの氷を口の中に隠す。

そして真澄から全員分のロシア紅茶のカップを受取り、そのうちの一つに口の中に隠していた毒入り氷を入れてそれを奥村に配ったのであった。

 

八角形の罠

ある劇団の控室で2つの殺人事件が起きた。

1つは停電の間にナイフで刺殺。

もう一つは毒入り煙草を吸わされた毒殺。

果たして犯人は誰なのか。

 

<登場人物>

・市川美樹

劇団の女優。

 

・西尾裕司

劇団の男優。

最初の事件の被害者。プレイボーイで恨みを買っていた。

 

・三村亮二

劇団の照明係。実家は資産家

 

・吉沢雅義

劇団の舞台監督。

 

・権田和也

劇団の代表兼、演出家。

 

・武藤弓子

劇団の女優。西尾の交際相手だが三村と交際していた過去を持つ。

 

・夏木リサ

劇団の女優。

 

・矢島隆

劇団の男優。第2の事件の被害者。

いつもお金に困っていた。

 

<事件の真相>

犯人は三村。

動機は西尾を殺害すればかつての恋人弓子が戻ってくると思ったため。

三村は金に困っていた矢島を使い停電の中、西尾を刺殺させる。

この時に実行犯は矢島、凶器を隠すのは三村と作業を分担した。

なお、停電の暗闇の中、西尾を刺殺することが出来たのは西尾の上着に予め蛍光塗料を塗っておいたから。

 

その後三村は矢島が吸っている煙草の箱を毒入り煙草の箱とすり替えて、毒殺した。

矢島は自分がいま吸っている煙草を三村からもらった銘柄と死ぬ前に話しており、そのことから予め同じ銘柄の毒入り煙草を用意出来るのは三村しかいないとなり犯人として特定された。

 

感想

楽しめました。

ただし、短編ということもありキャラ一人一人の魅力や動機が掘り下げられているわけではないので、ストーリーを楽しむというよりは純粋にトリックや犯人当てを楽しむという作品です。

 

ジャムが入っているというロシア紅茶はぜひ一度飲んでみたい。

 

未読の方はぜひ。

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