高野和明さんのミステリー小説。
死刑囚の冤罪を証明するために仮釈放中の三上純一と元刑務官の南郷正二が奮闘する。
最後まで読めない展開に手に汗握りました。
感想(ネタバレ注意)
盛大にネタバレしますので未読の方はご留意ください。
事件の真相をまとめてみます。
宇津木夫妻を殺した事件の犯人は
樹原の元雇い主である安藤オーナー
安藤オーナーは前科者であるが事業で成功していた。
保護司の宇津木に前科者であることを暴露するとゆすられて金銭を要求されていた。
金銭を支払っていたがこのままではきりがないと感じて宇津木夫妻を殺害した。
その際に樹原に罪をかぶせた。
樹原の冤罪を証明の証拠集めの依頼主は
佐村光男(佐村恭介の父)
自分の息子を殺した三上純一が死刑にならず仮出所されたことを知った。
宇津木事件の犯人である樹原の証拠が曖昧であることに目をつけ、樹原の冤罪を証明して三上純一を真犯人に仕立てあげることを考えた(樹原の冤罪証明自体が目的ではない)。
そのために偽の証拠を用意し、それを第三者に探させて三上純一を真犯人として死刑にさせようとした。
ちなみに報酬金の出所は三上家からの賠償金。
最大の誤算は犯人に仕立て上げようとした三上純一自身に証拠探しの依頼がいってしまったことである。
三上純一が佐村恭介を殺害した時に殺意はあったのか
殺意はあった。
十年前に恋人の木下友里が佐村恭介に強姦されており、その時から復讐のため佐村恭介の殺害を計画していた。
偶然同業者の集会で再会した際もホテルを訪ねてナイフで刺し殺すつもりだったが、意図せず居酒屋で再会してしまう。
逆に因縁をつけてきた佐村恭介の手を振りほどいてバックにあるナイフで刺し殺そうとするが、手を振りほどいた拍子に床に頭をぶつけて佐村恭介が死亡したというのが真相。
だから殺意はあったし本来であれば死刑になってもおかしくはなかった。
いやー面白かったです。
最後まで展開が読めませんでした。
依頼主は安藤オーナーかと思っていましたが佐村光男だったんですね。
三上純一が宇津木夫妻殺害に何らかの関与をあると思わせぶりな書き方がされていましたが、結果何の関与もなかったですね。
南郷にはぜひ無罪を勝ち取りサウス・ウインド・ベーカリーを再開してほしいものです。