【東野圭吾】白夜行|残された謎を徹底考察・時系列まとめ

小説

東野圭吾さん屈指の名作「白夜行」のネタバレ考察記事です。

白夜行めちゃくちゃ面白いですよね。

長編なのに中だるみ感を全く感じさせず一気読みさせてくれます。

 

白夜行は主人公である「桐原亮司」と「唐沢雪穂」のパートに分かれていて徐々に物語が進行していきます。

しかし二人の視点で書かれている話は一切ありません。

二人のそれぞれの身近な人物の視点で「桐原亮司」と「唐沢雪穂」の様子が描かれているだけで、二人が本当に何を考えているかは一切明かされていないのです。

この方式は読者の想像をとても膨らませて楽しませてくれるのですが、一方であの時何が起きたのかわからなかったり、いろいろと謎が多かったりします。

ストーリー終盤で刑事を引退した笹垣が事件を調べた結果を整理して語ってくれるので大部分の謎は判明するのですがそれでも不明なところはいくつかあります。

 

今回の記事では白夜行のすべてをネタバレしていくとともに作中で解明されなった謎の考察と亮司と雪穂の道のりをまとめてみたいと思います。

 

一読してよくわからなかったという方はぜひ御覧頂ければと思います。

目次

ネタバレ

それでは早速ネタバレしていきます。

未読の方はご留意ください。

 

時系列でのネタバレ

時系列でのネタバレになります。

1章~13章までの内容を記載します。

時系列で何があったかを知りたいという方は御覧ください。

第1章_1973年|桐原洋介殺害事件について

<刑事笹垣の視点>

あるビルで質屋を営む桐原洋介が殺害された事件。

容疑者として寺崎という男と雪穂の母である文代が調べられたが結局どちらも犯人ではなかった。

 

<解説>

犯人は洋介の息子で当時小学校5年生だった桐原亮司。

自分にとって大切な存在である雪穂にビル内で性的行為を強要している父親を目撃してしまう。

怒りに支配された亮司は持っていた鋏で殺害した。

亮司による犯行が露見しなかったのは警察が11歳の少年が犯人である可能性を考えなかったため。

そもそも亮司には父親を殺害する動機がないと思われていたし、更には母の弥生子と使用人の松浦により犯行時刻に亮司が家にいたという証言もあったため露見しなかった。

なお桐原洋介が所持していたはずの百万円は雪穂の母である西本文代に雪穂を養女にするための代金として渡されていた。

第1章_1973年|寺崎忠夫が事故死した事件

<刑事笹垣の視点>

桐原洋介殺しの有力容疑者である寺崎が死亡した事件。

寺崎は車を運転中にカーブを曲がり切れずに壁に激突して死亡した。

寺崎が運転してた車から桐原洋介のものと思われるダンヒルのライターが出てきたため警察は寺崎が洋介殺しの犯人と一層疑いを強めた。

 

<解説>

本件については作中で明言がないがおそらく亮司が寺崎の車に何らかの細工をしたことが想定される。

根拠としては少し弱いが亮司の部屋に「自動車のしくみ」という本が置かれていたことから推察できる。

動機としては寺崎は洋介同様に雪野の身体を買っていたと思われるためその復讐と、ダンヒルのライターを車に置いておくことで洋介殺しの事件を容疑者死亡で決着させようとしたのだと考えられる。

なおダンヒルのライターは最初に洋介を殺害した際に雪穂が持ち去ったと思われる。

これは殺害した当初から誰かに罪を擦り付けるために持ち去ったとことを意味する。

第1章_1974年|西本文代が死亡した事件

<刑事笹垣の視点>

雪穂の実母である西本文代が自宅でガス中毒で死亡した事件。

警察は当初カップ酒を飲んでいたこと、風邪薬を大量に飲んでいたこと、部屋を閉め切っていたことから自殺を疑ったが、娘である雪穂が文代は風邪をひいていたことと、寒気がするときは酒を飲むこともあると証言したことで結局は事故死として扱われた。

また鍋のふきこぼれが拭かれていたことも自殺であれば拭くはずがないということで事故死を強調する材料となった。

 

<解説>

実際は生活に疲れた文代がガス自殺をはかったもの。

文代は自殺するために窓をすべて締め切った上で、睡眠薬代わりの風薬とカップ酒を飲み眠りについた上で自殺を図った。

鍋のふきこぼれを拭いたのは事故に見せかけるための雪穂の工作。

また雪穂は家の鍵を持っていたが、鍵を持っていないふりをして管理会社までいき、管理人立会いのもと部屋を一緒に空けてもらっている。

本当は雪穂は鍵を持っていたため部屋に入った際に文代がガス自殺を図っていることがわかった。

しかし雪穂はあえて文代を助けずに鍵を閉めた上で管理会社までいって文代が死ぬ時間を稼いでいる。

これは雪穂にとって文代が死亡した方が都合が良いからである。

当時雪穂は父方の親戚である唐沢礼子と懇意にしており、文代が死んだら礼子に引き取ってもらえるという計算があったのだ。

貧乏ぐらしの文代といても先がないと感じた雪穂はある程度資産がある礼子に引き取ってもらった方が自分にとってよいと判断したのである。

第2章_1977年|藤村都子レイプ未遂事件

<亮司の同級生秋吉雄一と雪穂の同級生川島江利子の視点>

 

雪穂の同級生である清華女子中学3年生の藤村都子が何者かに襲われた事件。
※実際は未遂で裸にされただけ。

雪穂と江利子は都子が裸にされて気を失っていることを発見した。

当時、都子は雪穂のことを快く思っておらず雪穂について不都合な噂を流していたが、この事件以降都子はすっかりおとなしくなった。

またこの事件の犯人は亮司の同級生である菊池とされかけたが亮司がアリバイを証言したことで容疑者から外れた。

菊池は過去の桐原洋介の事件について調べていたが、このレイプ未遂事件以降はおとなしくなった。

 

<解説>

レイプ未遂事件を実行したのは亮司。発見者は雪穂。

本レイプ事件は目的が2つある。

一つは雪穂に敵対している藤村都子を黙らせるため。

もう一つは桐原洋介殺害事件をかぎまわっている亮司の同級生の大江中学校3年生の菊池を黙らせるため。

まず一つ目の藤村都子について。

藤村都子は雪穂を敵対視しており雪穂の過去についての噂を流したりしていた。

雪穂は藤村都子を黙らせるためにレイプ事件を起こし、自らが発見者となり、藤村都子の弱みを握ることにしたのだ。

菊池は過去の桐原洋介殺害事件の重要な証拠となる桐原弥生子と松浦の逢引の写真を手に持っていた。

菊池がその写真を警察に見せると、警察は洋介殺害時刻に二人が情交中であったという可能性を考える。
そうなれば亮司は一人であったと考える可能性があり亮司のアリバイが崩れる可能性が出てくる。

その可能性を恐れた亮司はレイプ事件の犯人の罪を菊池に擦り付けた上で、自らが菊池のアリバイを証言し恩を売ることで黙らせたのである。

流れとしては以下。

①雪穂が市場で働く菊池の母に有効期限が当日の映画の券を渡す。
※菊池はその映画を見たがっていたことは調査済み。

②亮司は菊池のアリバイを証言するために映画館の前で小学校時代の友人と一緒に菊池を目撃する。

③藤村都子を襲った後に予め盗んでおいた菊池のキーホルダーを現場に落とす。

一時は警察に犯人と疑われた菊池だが亮司がアリバイを証言したことで容疑者から外れることになった。

亮司はアリバイを証言した代わりに母である弥生子と松浦の逢引の写真を要求し、事件に関わらないことを約束させたのであった。

第3章_1979年|花岡夕子が死亡した事件

<亮司の同級生園村友彦の視点>

亮司はこの頃、容姿が良い男子高校生を暇をもてあました主婦に紹介し金銭を得るバイトをしていた。

あるときに亮司は同級生の園村友彦を花岡夕子に紹介した。

紹介はマンションの一室で行われて友彦は初体験を済ませた。

亮司は友彦にトラブルになるから絶対に個人的に連絡は取るなと言われていたが、夕子から連絡先を渡されて個人的に連絡を取ってしまう。

その後も友彦は何回も夕子と肉体関係を結んでいた。

しかしそんな関係は長くは続かず夕子の旦那に友彦との関係を気づかれそうになる。

二人はほとぼりが冷めるまでしばらくは会わないと決めてホテルで最後の性行為を行ったが、行為後に夕子が心臓発作で亡くなってしまう。

焦った友彦は逃げ出すようにホテルから出ていき、亮司に相談をする。

亮司は友彦が約束を守らず個人的に夕子と連絡を取ったことと旦那に気づかれていることから友彦を見捨てようとするが、友彦がプログラミングを出来ることを知ると、今後自分に協力するのであれば助けてやるという。

なんとしても助かりたい友彦は亮司に協力を誓い助けを求める。

警察は捜査を開始したが警察の捜査が友彦まで伸びることはなかった。

 

<解説>

亮司は友彦の血液型がO型であることを確認し、現場に向かい死亡した夕子の膣内にAB型である自分の精液を残しておく。

また夕子の死亡時刻をあやふやにするために雪穂に依頼し夕子になりすましてもらう。
※亮司は雪穂の自宅に電話かける際に「英語弁論大会事務局」を名乗っている。

雪穂はボーイに依頼しシャンプーを部屋まで持ってきてもらい受け取ることで、少なくともその時までは生きていることを証明し、その間に友彦にアリバイを作らせることで容疑者から外したのであった。

なお今後友彦は亮司の長きにわたるパートナーとなる。

第4章_1979年|ゲームソフト「サブマリン」の盗難

<園村友彦の視点>

亮司が制作し、販売したゲームソフト「マリン・クラッシュ」についての事件。

亮司の制作した「マリン・クラッシュ」は人気となり売れ行きも好調であったが、このソフトは北大阪大学工学部の第六研究室で制作したソフト「サブマリン」と酷似していたのである。

サブマリンの開発に携わった第六研究室のメンバーはサブマリンのプログラムが盗まれたと考えたが誰にも心当たりはないとのことであった。

しかしみんなの前で心当たりはないといったもののメンバーの一人であり、雪穂の家庭教師を務める中道には心当たりが実はあった。

雪穂にサブマリンの話をした際に、雪穂からプログラムが記録されたテープを見たいと言われたのだ。

雪穂に好意を抱いている中道はあっさりと了承し雪穂にテープを見せたことがあるのだ。

 

<解説>

雪穂は中道の前では一瞥しただけであったが、その後こっそりとトイレに立った際に中道のバックからテープを盗み、亮司に渡し、家庭教師をしている2時間の間に複製をつくりバックに戻しておいたのであった。

こうして亮司はサブマリンを下地にしてマリン・クラッシュを開発したのであった。

第5章_1980年|川島江利子レイプ未遂事件

<川島江利子の視点>

清華女子大に進学し、大学1年生となった雪穂と友人の川島江利子。

雪穂は日に当たる部活は紫外線を浴びて肌に影響があるからという理由でテニス部やスキー部、ゴルフ部はさけてソシアルダンス部に入部する。

川島江利子も一緒だ。

ソシアルダンス部は永明大学と合同で活動をしているため男子部員も存在する。

男子部員から早速ちやほやされる雪穂。

しかし部長の篠塚一成は雪穂ではなく江利子に興味をもっていた。

一成は正真正銘の御曹司で日本で5本の指に入る製薬会社の専務の長男であった。

そんな一成は確かな人を見る目を持っており単なるお嬢様ではなく卑しさを秘めた目をしていると感じており、雪穂ではなく江利子の方に興味をもっていた。

一成には1年生の頃から交際している倉橋香苗がいたが、一成は江利子に好意を抱いたため香苗と別れ、江利子と交際することになる。

そのことに腹を立てた香苗は江利子に部の経理業務をすべてやらせるなどのいやがらせをした。

なおその際には部の口座のキャッシュカードも渡されており、江利子と一緒にいた雪穂がキャッシュカードを預かった。

その後キャッシュカードは本来の管理人である香苗の手に渡される。

 

しばらくしてから江利子がレイプ未遂をされる事件が起こる。

そして一成のもとに電話がある。

電話の内容は早苗から例の仕事の代金をまだもらっていないというものだった。

一成は早苗が嫉妬に狂い男を使って江利子を襲わせたと結論づけるのであった。

 

<解説>

雪穂は部のキャッシュカードを預かった際に亮司に渡して偽造キャッシュカードを作成している。

香苗しかキャッシュカードを使用できる人間がいない状況を作った上で、亮司はキャッシュカードからお金を引き出した。

またそのことが発覚しないために部長である一成の恋人の江利子を亮司がレイプ未遂し、後に部長の一成に電話をかけて謎を男を装い香苗からお金をまだもらっていないと告げる。

こうすることで一成に香苗がふられた腹いせに男を金で雇って江利子を襲わせたと思わせることに成功した。

 

なお精神的なショックで外出が出来なくなった江利子を雪穂が見舞うシーンがある。

その際にテレビである会社員のクレジットカードが偽造されて約200万円を引き出されたというニュースが放送されたのを雪穂が消すシーンがある。

言うまでもなくこの犯人は亮司と友彦である。

 

 

第6章_1981年|西口奈美江殺害事件

<園村友彦の視点>

亮司はゲームソフトの制作は著作権がうるさく言われるようになったため、経営する無限企画では現在はクレジットカードの偽造をメインに行っていた。

メンバーは亮司と友彦、そして経理を担当する銀行員の西口奈美江だ。

ある日、無限企画の事務所にやくざの榎本という男が現れた。

榎本は奈美江を探しているようだが亮司たちは一時はしらばっくれる。

後に奈美江と連絡が取れた際に詳細を聞くと榎本は奈美恵が金を貢いでいた相手だという。

かつて車の衝突事故を起こした際に榎本に助けてもらったことから好きになったのだ。

奈美江は勤めている銀行のお金を榎本の口座に不正送金をしていたのだ。

しかし不正送金の事実に奈美江の同僚の真壁が気が付いてしまう。

真壁は誰がこのようなことをしているのか不思議に思い奈美江が犯人とは思わず奈美江に相談する。

まずいと思った奈美江は榎本にこのことを相談。

奈美江からの送金をあてにしていた榎本は真壁を殺害してしまう。

奈美江は殺人まで犯した榎本にもうついていけないと感じ榎本から離れることを決意する。

逃走資金については奈美江が榎本への送金とは別に自分が使える口座に二千万円を不正に振り込んでいたのでそれを使用することにした。

亮司は奈美江が宿泊するホテルと逃走資金を引き出す際の変装用の道具を渡した。

これで奈美江は無事に逃げ切れるかと思ったが、後日のニュースで奈美江が亮司が手配した名古屋のホテルの部屋で殺害されていることと、榎本が容疑者として指名手配されていることが明らかとなる。

更に奈美江が不正送金していた二千万円についての行方がわからなくなっていた。

 

<解説>

これには当然からくりがあり奈美江の居場所を榎本に教えたのは亮司である。

奈美江は過去にも男に貢いで失敗した経験があり今回も同じ過ちを繰り返した。

亮司は同じ失敗を繰り返す人間を許すことはないので榎本に居場所を教えたのである。

また二千万円は奈美江に渡した変装道具と同じものをつけた雪穂が引き出した。

後に奈美江の部屋で同じ変装道具が見つかれば奈美江が引き出したと思わせることができるからだ。

第7章_1984年|雪穂と高宮の結婚について

<高宮誠の視点>

 

高宮誠は結婚を控えていた。

相手は雪穂だ。

永明大学のソシアルダンス部で副部長を任されていた高宮は1年生で入部してきた雪穂と交際することになった。
※高宮自身も雪穂を気に入っていたがどちらかというと雪穂の積極的なアプローチで交際に発展した。

その後4年間交際を続けてとうとう結婚をすることになったのだが高宮に迷いがあった。

勤務する会社で派遣社員として働いている一つ年下の三沢千都留のことが気になっているからだ。

雪穂のことを嫌いなわけではないが結婚するほどかというとそうではなかった。

ではなぜ結婚を決意したかというと二年前に雪穂に妊娠したことを告げられたからだ。

その証拠に高宮は雪穂から妊娠検査薬の結果を見せられた。

結婚の覚悟が出来ていない高宮にとって子供が出来ることは想定外でしかなかった。

そんなことを見越してか雪穂は自ら子供を堕ろすと宣言する。

雪穂に子供を堕ろさせてしまった高宮はそのことに責任を感じて雪穂と将来結婚することを決めたのであった。

妊娠の件で雪穂と結婚するしかないとわかりつつも高宮はどうしようもなく千都留に惹かれていった。

そして学生時代の親友である篠塚一成に相談した上で派遣の契約期間が終了し故郷に帰る千都留に思いを告げることを決意する。

千都留が帰郷前に泊まるホテルを聞き出した高宮は千都留がチェックインするのを捕まえて思いを伝えるつもりでいたが、なんと千都留はそのホテルをキャンセルしてしまったため結局高宮が告白することはなかった。

当日にホテルをキャンセルするなんてレアケースはめったにないと思った高宮は自分は千都留と結ばれる運命ではなかったと結論づけるのであった。

 

<解説>

まず妊娠検査薬の結果は雪穂のものでもない。

友彦が恋人の中嶋弘恵を妊娠させてしまった時の検査薬を亮司が友彦から借りたものであった。

もちろん雪穂は高宮に結婚を決意させるためにこのような芝居を行った。

 

また千都留がホテルをキャンセルしたのも単なる偶然ではない。

一成に千都留への思いを相談しているのを亮司は聞いたため、あらかじめこの計画を知ることが出来て阻止したのである。
※高宮の電話は亮司に盗聴されていた。

具体的には刑事に扮した亮司がチェックイン前の千都留をホテル前でつかまえて、千都留が宿泊するホテルにある事件の犯人が泊っていると嘘をつき部屋をゆずってくれるようにお願いしたのだ。

悩んだ千都留だったが代わりにもっと豪華なホテルの部屋を提示されたため亮司の提案を受け入れることになり高宮の告白を受けることはなくなったのだ。

 

第8章_1985年|松浦勇殺害事件

<園村友彦の視点>

亮司と友彦が運営する無限企画は金城という榎本とつながりのあるやくざと協力し、大手のゲームソフト会社のプログラムを盗み出し発売と同時に偽物を売ることで多額の利益を上げた。

その利益をもとに現在では「MUGEN」というパソコンショップを運営できるまでになった。

人手が足りなくなった亮司と友彦は、仕事をやめたがっていた友彦の彼女の弘恵を事務スタッフに加えて3人で「MUGEN」を運営していた。

そんなある日、ゴルフゲームの偽物で味をしめた金城が再度マリオの偽物を作る話を亮司に持ち掛けてきた。

そんな危ない橋は渡れないと要求をつっぱねた亮司。

しかし今度は金城ではなく別の人物が亮司を説得しにやってきた。

それはかつて父桐原洋介のもとで質屋を運営していた松浦であった。

松浦は現在は偽物のゲーム等の危ない商品専門のブローカーをしておりマリオの偽物が手に入れば多額の利益が入るため亮司を説得しにきたのだ。

松浦は桐原洋介が殺害された事件で、亮司の偽のアリバイを証言しており犯人である亮司にとっては頭が上がらない人物である。

松浦に頼まれて亮司は仕方なく偽物のマリオの制作を開始する。

しかし当初から無謀な計画であったのは明らかで一斉捜査が入るとの連絡を大晦日の夜に金城から受ける。

亮司は証拠を消すために奔走し深夜に帰ってくる。

亮司の帰りを店で待っていた友彦は疲れきった亮司を見て自宅に帰るが、これ以降亮司が友彦の前に姿を表すことはなかった。

またブローカーの松浦も姿を消してしまったのである。

 

<解説>

亮司が松浦を殺害した。

※おそらく殺害は1986年1月1日の深夜。

亮司は松浦の死体を唐沢礼子の自宅の庭に埋めている。

高宮と結婚していた雪穂は礼子を自宅に招き亮司が死体を隠せるようにサポートしている。

第9章_1988年|高宮と雪穂の離婚

<高宮誠の視点>

高宮が勤める東西電装株式会社では一つの問題が発生していた。

社内の技術システムが第三者に盗まれた形跡があるのだ。

その証拠に東西電装株式会社の技術をまとめたソフトが販売されていたのだ。

 

また高宮は家庭内でも問題をかかえていた。

それは雪穂との関係だ。

結婚して2年半になり仕事を始めた雪穂は最近では帰りが遅くなり家事がおろそかになっていった。

そのことで何度かケンカをしていたが雪穂がすぐに謝罪していたため大ごとにはならなかった。

そんなある日雪穂がゴルフを一緒に習わないかと言い出した。

高宮は乗り気ではなかったがしぶしぶ参加することに。

しかしゴルフスクールまで来たものの雪穂は急な仕事が入ったため参加出来なくなってしまう。

勝手な雪穂の態度に怒り心頭の高宮だがせっかくきたので一人で説明会に参加する。

そこでかつての想い人、千都留に再会することになる。

千都留と出会ったことでかつての想いが完全によみがえった高宮は雪穂との仲がうまくいっていないこともあり積極的にアプローチし不倫関係に発展する。

高宮が不倫を続けていたある日、雪穂が会社の後輩を自宅に泊める。

雪穂はその日は珍しく高宮につっかかり喧嘩に発展する。

怒った高宮は深酒をしてそのまま寝てしまう。

翌日高宮が起きると雪穂は目に眼帯をしていた。

高宮は全く理由を思い出せなかったが、雪穂によると高宮は昨夜の喧嘩の後、酔っぱらって急に殴りかかってきたのというのだ。

高宮には全く記憶がなかった。

雪穂はそれからしばらくして高宮と千都留の浮気現場の写真を持って弁護士のところに行き、離婚について相談するのであった。

 

<解説>

まず高宮の勤務する東西電装のデータが盗まれた件。

これには当然亮司がからんでおり、社内の重要データにアクセスできる立場である高宮のIDとPWを雪穂が亮司に伝えて盗み出したのだ。
※亮司はこのシステムを手土産に別の会社に就職をしている。

 

また高宮が千都留と出会ったのも偶然ではない。

雪穂がゴルフスクールに高宮を誘ったのも高宮と千都留を引き合わせて不倫をさせて離婚をするためである。

まず亮司が千都留の行動を調べ上げてゴルフスクールに通っていることを突き止める。

そして雪穂がゴルフスクールに高宮を誘い、直前で抜けることで高宮と千都留を二人きりで会わせる。

そして二人が順調に不倫関係に発展したら浮気現場の写真を抑えて離婚を成立させるという手はずだ。

恐らく高宮が雪穂に暴力をふるったというのも雪穂の狂言。

 

 

第10章_1991年|探偵今枝による雪穂の調査

<探偵今枝の視点>

 

今枝は近日コースを周る予定があるため久しぶりにゴルフ場で練習をすることにする。

そのゴルフ場ではひょんなことから高宮と会話をする機会が出来てその縁で篠塚一成と知り合うことになる。

今枝は自身の仕事を篠塚一成に明かすと、後日篠塚一成から調査依頼が入る。

依頼内容は雪穂のことを調査してくれというものだった。

高宮と雪穂が離婚後、一成のもとに雪穂が経営するブティックの特別セール招待状が届いた。

一成は乗り気はなかったが友人である高宮から頼まれて渋々行くことにした。
※高宮は別れたものの雪穂が元気でやっているか気になっていたのだ。

一成はブティックに行くことを従兄の康晴に話すと一緒に行きたいというので連れていくことにする。

そして従兄の康晴は雪穂に一目ぼれをしてプロポーズをするまでに発展したのだ。

康晴は飛行機事故で妻を亡くしており現在は子供二人と一緒に暮らしている。

本来であれば独身同士が結婚することは何の問題もないが雪穂にただならぬ警戒心を抱いている一成は今枝に雪穂の調査を依頼したのだ。

また康晴の妻になるということは将来の篠塚薬品の社長夫人になることを意味するので一成としても簡単に容認できることではなかった。

今枝は調査を受注し、早速雪穂のことを調べる。

雪穂の生まれた地や同級生の江利子などに話を聞いて雪穂の経歴を明らかにしていくのであった。

第11章_1991年|今枝殺害事件

<今枝の視点>

今枝は調査の結果を依頼主である一成に報告する。

主な報告内容は以下

・雪穂が購入した株式は必ずその後値上がりしておりインサイダー取引の疑いがあること

・雪穂の株取引の金額は数千万円単位で行われており専業主婦が用意できる金額ではないこと

・中学校時代と大学時代に起きたレイプ未遂事件は雪穂が意図的に引き起こした可能性があること

・雪穂が康晴のプロポーズを受け入れない理由として考えられるのは雪穂は他に好きな人がいるからであること。そして雪穂が本当に好きなのは一成の可能性があること

上記の調査内容を聞いた一成は全てを鵜呑みにしたわけではないが、引き続く今枝に調査を依頼する。

 

調査を続ける今枝のもとに刑事の笹垣が現れる。

笹垣はかつての桐原洋介の殺害事件の担当事件であり、雪穂と亮司の二人を追っている。

今枝が大阪で雪穂の調査を行っていることを知った笹垣はその目的を尋ねにきたのだ。

今枝の目的を聞いた笹垣は雪穂の調査の過程で亮司に出会ったら連絡をくれといって去っていった。

 

それからしばらくしたある日、今枝が自宅に帰ってトイレの便器を開けると異常を感じた。

そして全身の意識を失ってしまった。

 

<解説>

雪穂のことを調査する今枝が目障りになったため亮司が殺害した。

薬剤師である栗原典子と同棲をしていた亮司は典子を通じて青酸カリを入手。

青酸カリをトイレに仕込んでおいて今枝を青酸ガスで毒殺した。

今枝の死体は発見されておらず亮司がどこかの山中に埋めたものと想像される。

 

第12章_1991年|唐沢礼子殺害事件

<帝都大学に勤務する薬剤師、栗原典子の視点>

ある日仕事の帰りに道を歩いていると具合の悪そうな男が道に座り込んでいる。

心配になった典子は声を掛ける。

典子のおかげで何とか元気になった男はその場を去っていく。
※その男はもちろん桐原亮司。ただし亮司は典子に秋吉雄一と名乗った。

その日からずっと典子は亮司のことが気になっていた。

そして1週間後、また亮司が典子に会いにきた。

そこから二人は一緒に食事をしたり、恋仲に発展した。

そして同棲を始めた二人。
※亮司が青酸カリで今枝を毒殺したのもこの頃。

二人はそれなりに幸せに暮らしていたが、ある日亮司が突然大阪に行くと言い出した。

ここで亮司を一人で行かせたらとんでもないことになると感じた典子は自分もついていくと主張する。

そして大阪に到着した1日目。

亮司は珍しく機嫌が良く、典子に大阪の街を案内してくれた。

2日目は亮司が仕事の予定があるというので別行動をとることに。

夜の11時過ぎに疲れて帰ってきた亮司に仕事は終わったのかと典子が尋ねると亮司は「終わった、何もかも終わった」と答えるのであった。

 

<篠塚一成の視点>

突然康晴に呼ばれた一成。

緊急の要件があると康晴は言う。

雪穂の育ての親の唐沢礼子がくも膜下出血で倒れたというのだ。

康晴は礼子にもしものことがあったら、自由に動けない自分の代わりに大阪に行き雪穂を支えてやってほしいと依頼する。

一成は乗り気ではなかったが渋々了承する。

そしてそれから数日して康晴から連絡が入る。

唐沢礼子が息を引き取ったというのだ。

一成は康晴に言われて雪穂のサポートをするために大阪に向かうのであった。

 

<解説>

唐沢礼子を殺害したのは桐原亮司。

礼子がくも膜下出血で倒れて意識を失った時期は雪穂が自由が丘に「R&Y」3号店をオープンする直前であった。

このまま礼子が意識不明の状態が続くと雪穂は3号店のオープンに集中できないと考えて亮司に殺害を依頼した。

犯行日、雪穂は疑われないように部下の浜本夏美と一緒に過ごし、その間に大阪に来た亮司が病院に侵入し礼子の生命維持装置を外したのであった。

 

また亮司が典子の前に現れたのは偶然ではなかった。

メモリックスに勤務していたころに結婚情報サービスのシステムを開発した亮司は、開発者として結婚サービスに登録しているデータを盗み見て情報収集をする。

そして帝都大学に勤務しており、篠塚薬品との共同データにログインできる権限を持っている女性を見つける。

それが典子だったのだ。

亮司は典子からIDとPWを盗み、そのIDとPWを使い篠塚薬品のデータをライバル会社のユニックス薬品に流す。

その上でデータを流したのは篠塚一成だとユニックス薬品の内部の人間を装い告発したのであった。

その結果一成はグループ会社に左遷されることになった。

雪穂の結婚に反対する目障りな一成を消すことが出来たのだ。

第13章_1992年|篠塚美佳レイプ事件・桐原亮司死亡事件

<篠塚美佳の視点>

美佳は康晴と飛行機事故で亡くなった前妻との子供。

美佳にとって新たに嫁いできた雪穂はどうしても慣れ親しむことが出来ない相手であった。

身体が雪穂を自然と警戒してしまうのだ。

そんなある日美佳は宅急便に扮した男にレイプされる。

呆然とする中、雪穂に発見された美佳は病院に連れて行かれてこのことは二人の秘密にしておこうと言われるのであった。

 

<元刑事笹垣の視点>
※この頃笹垣は刑事を定年退職している。

今枝を調べる過程で一成と出会った笹垣。

二人は雪穂は危険な人物だという点で共通の認識を持っていた。

笹垣は今まで19年間をかけて調べたことのすべてを雪穂の現在の夫である康晴に一成と一緒にぶつけることにした。

笹垣の話を聞いても雪穂にべた惚れの康晴は全く信じようとせず怒り出す始末であった。

怒った康晴がゴルフボールを投げつけたところ、ボールは雪穂が礼子の実家から持ってきたサボテンの鉢植えに当たって割れてしまう。

そしてその鉢植えからガラスの破片が出てくる。

その破片を見た笹垣はピンときた。

行方知れずになっている松浦のサングラスの破片だと思ったのだ。

雪穂の実家である礼子の鉢植えの土に松浦のサングラスの破片が入っているということは松浦の死体が礼子の自宅に埋められているということだ。

笹垣はその推理を警察に話した。

早速警察が掘り返したところ松浦の死体が発見された。

また死体の手には格闘した際に相手の髪の毛が握られておりこれは亮司の毛髪であると確信していた。

亮司を捕まえることを決意した警察。

亮司は必ず雪穂のそばに現れると考えた笹垣は、雪穂が大阪で新しくオープンする「R&Y」の大阪1号店の初日に亮司が現れるのではないかと考えた。

雪穂は東京に拠点がある以上、大阪にはそう何度も来れないため、雪穂が来るのはオープン初日のみである。

その雪穂の晴れ姿を亮司は必ず見に来ると予想したのだ。

既に刑事として引退している笹垣だが、その執念の捜査を信じた警察は「R&Y」大阪1号店のオープン初日に張り込みを行うことにする。

そして予想通りサンタクロースに扮した亮司が現れる。

亮司を追い詰める笹垣。

逃げきれないと感じた亮司は自らの胸を持ってきた鋏で刺して自害したのであった。

亮司の死体を見た雪穂は全く知らない人だと語るのであった。

 

<解説>

美佳をレイプしたのは雪穂に依頼された亮司。

雪穂に懐かない美佳を懐柔させるために行った。

残された謎の考察

ここでは作中で明かされていない残された謎の考察を行います。

管理人の推理が多分に入り込んでいますが楽しんで頂ければ嬉しいです。

 

亮司と雪穂の間に愛情はあったか?

白夜行の根幹となる雪穂と亮司の関係についてです。

管理人の意見としては愛情というよりも人生のパートナーという方がしっくりきます。

犯罪を繰り返す二人はお互い裏切られたら終わりなわけですから、二人の間には強固な信頼関係があることは明らかです。

そしてそれは愛情よりも強いものであったのだと思います。

二人の関係は戦友というのがぴったりな気がします。

 

亮司の人間性は?

雪穂は自己の利益のためなら友人であろうと全てを切り捨てることが可能ですが、亮司にはそこまでの非情さは感じません。

マリオゲームの偽物を作る際に、手伝おうとする友彦を制して自分一人でやると言い切ります。

もちろん何かあった時に撤退するとしたら自分一人の方がやりやすいということもありますが、危険なことには友彦を巻き込みたくないという意志が感じられます。

また友彦と弘恵に結婚を勧めたりと二人の仲を気にする描写もあります。

 

また目的があって近づいたとは言え典子に対してもただ利用するだけではなく、自らの過去を珍しく語ったりわずかながら心を開いた描写もあります。

亮司自身は父を殺したことで日向の道を歩くことは叶わなくなりますが、友彦と弘恵に語ったように本当は普通の人間のように日の光を浴びて生きていきたかったのでしょう。

 

雪穂が高宮と結婚した理由は?

推測するしかありませんが、高宮家が資産家であることは無関係ではないでしょう。

幼い頃貧乏であった雪穂は金に対して尋常ではない執着心があります。

高宮と一度結婚をし高宮に浮気をさせて離婚をして慰謝料をもらうというのが当初からのプランだったのだと思います。

 

篠塚美佳だけレイブをされた理由は?

本作では女性が襲われた事件が3つあります。

一人目は藤村都子、二人目は川島江利子、そして三人目は篠塚美佳です。

この中で実際にレイプされたのは篠塚美佳だけです。

なぜ他の二人は未遂に終わったのでしょうか。
※都子と江利子は裸の写真を撮られただけ。

管理人の見解では単に都子と江利子についてはレイプまでする必要がなかったからでしょう。

都子については雪穂に都合の悪い噂を言いふらしていただけなので、その口封じをするだけであれば裸の写真を撮って脅すだけで十分でした。

また江利子について同じです。

倉橋香苗が一成にふられた腹いせに部費を使って男を雇って復讐したというシナリオが欲しかっただけなのでレイプまでする必要はありませんでした。

しかし美佳については違います。

雪穂の目的はおそらく美佳に自分と同じ傷を与えることだったのだと思います。

子供の頃から望まない売春をさせられた雪穂と同じようにレイプをさせることで自分が唯一の理解者となり、美佳を服従させるつもりだったのでしょう。

 

雪穂の株の資金源は?

雪穂は高宮と結婚していたころ株で荒稼ぎしています。

しかし当時収入がない専業主婦の雪穂にとっては用意できない数千万単位の資金を最初から持っていたというのは不思議な話です。

これは間違いなく亮司からもらったお金でしょう。

亮司はその頃クレジットカードの偽造と奈美恵の逃走用の資金二千万円を横取りしていますので、そのうちの一部または大部分が雪穂に流れたとなれば株の資金源については説明がつきます。

雪穂はインサイダー取引をしていたのか?

雪穂の担当をしていた証券会社の人間によれば雪穂が購入した株は必ずといってよいほど値上がりしていたと言います。

これは単に雪穂の感が良いだけでは説明がつかないレベルだったらしくインサイダー取引が疑われます。

一番疑しいのは東西電装の特許ライセンス部に勤務する高宮のIDとPWを使い特許に関する情報を入手した可能性ですが、そもそも東西電装の特許ライセンス部で管理している情報は公開されている情報のみで、未公開の情報は入手できません。

となるとやはり亮司のハッキングにより企業の未公開情報を入手したと考えるほかなさそうです。

雪穂の売春相手は桐原洋介だけだったのか?

雪穂は亮司の父洋介相手に売春をさせられたことは名言されていますが、他にもその相手はいたのでしょうか。

管理人の結論は他にもいたです。

なぜなら亮司にレイプされた美佳を慰める際に雪穂は自分も幼い頃に同じ経験をしたと語り、しかも相手の悪魔は一人ではなかったと発言しています。

この発言が真実であるとすると売春相手は洋介のみではなく他にもいたことになるでしょう。

そしてその相手として考えられるのは作中では寺崎以外いません。

雪穂の母の文代の交際相手として考えられていた寺崎ですがその相手は雪穂であったのでしょう。

雪穂が経営するブティック「R&Y」の由来は?

作中で唐突に登場した感のある「R&Y」という雪穂が経営するブティックの名前についてです。

これはには作中で何ら説明がないのですが、少し考えれば亮司(R)と雪穂(Y)の名前の頭文字であることがわかります。

恐らくこの推理で間違いないと思います。

管理人は雪穂が店名を決める際にYを先ではなくRを先に置いている点で、亮司を利用しているのではなく二人の間には確かな信頼関係があったと感じています。

 

亮司と雪穂の間に性行為はあったのか?

亮司は女性の膣内で射精できない体質であることを典子に告白しています。

これはおそらく本当のことでしょう。

幼い頃に雪穂と父洋介の性行為を見てしまったショックで膣内に射精できなくなったと推測されます。

よって二人の間に性行為はなかったと思います。

ただ、亮司が典子に手と口で愛撫してもらっている際に典子の手と誰かの手を比べている描写があります。

これはおそらく雪穂の手でしょう。

亮司は膣内で射精できない代わりに雪穂の手と口で射精していたのだと想像できます。

この話を補強する材料として高宮と雪穂の性行為の描写があります。

高宮が雪穂に挿入する際に痛がって出来ない場面があり、その際に高宮はそれなら手と口でしてほしいと思うのですが、雪穂は決してそういうことはしないと書かれています。

雪穂にとって手と口は自身のパートナーである亮司のためのものという感覚があるのかもしれません。

 

雪穂は篠塚一成を本当に好きだったのか?

今枝の意見として雪穂は一成のことを好きだというものがあります。

その根拠の一つとして一成が一度しか雪穂の前で付けていない時計を覚えていたからとありますが果たしてどうなのでしょうか。

管理人としては雪穂が誰かを愛するということ自体想像できません。

雪穂は家庭教師の中道正晴に男に振られて死ぬなんてばかみたいと発言するシーンがあり、これは雪穂の本音でしょう。

一成のことをよく覚えているのは一成が雪穂を警戒しているので雪穂の側も警戒しているだけというのが管理人の見解です。

桐原亮司と唐沢雪穂の軌跡

二人が歩んだ道のりを簡単に年表にまとめます。

()の中は推定年齢です。

 

桐原亮司の軌跡

1973年(11歳) 
父桐原洋介を殺害、寺崎の車に細工をし殺害。

1977年(15歳)
雪穂に敵対する都子と、洋介殺害事件を嗅ぎまわる菊池を黙らせる目的でレイプ未遂事件を実行

1979年(17歳)
同級生を主婦に紹介するアルバイトで金銭を稼ぐ。また友彦と知り合う。無限企画を立ち上げてゲームソフトサブマリンの販売を開始する。

1980年(18歳)
部費を盗んだ目的を偽造するために川島江利子レイプ未遂事件を実行する。

1985年(23歳)
パソコンショップを友彦と立ち上げて運営に集中する。

1986年1月1日(24歳)
過去のアリバイの秘密を知る松浦を殺害する。

1986年(24歳)
東西電送の内部情報を手土産にメモリックスに入社。

1991年(29歳)
栗原典子と同棲。雪穂のことを嗅ぎまわる今枝を殺害。唐沢礼子の生命維持装置を外し殺害。

1992年(30歳)
「R&Y」の大阪1号店のオープン初日に店にサンタの格好で現れて雪穂を見守る。しかし笹垣に見破られて持っていた鋏で自害する。

 

唐沢雪穂の軌跡

1973年(11歳)
洋介や寺崎の売春の相手をさせられる。

1974年(12歳)
母西本文代が自殺(警察は事故死として処理)したため親戚の唐沢礼子に引き取られる。

1977年(15歳)
雪穂に敵対する都子と、洋介殺害事件を嗅ぎまわる菊池を黙らせる目的でレイプ未遂事件を実行
※実行犯は亮司。

1979年(17歳)
亮司のためにサブマリンの原型となるゲームプログラムを中道正晴から盗む。

1980年(18歳)
清華女子高校卒業。清華女子大学入学。ソシアルダンス部副部長の高宮と交際開始。

1985年(23歳)
大学卒業。高宮誠と結婚

1988年(26歳)
高宮誠と離婚

1992年10月10日(30歳)
篠塚康晴と再婚。亮司の最後を見届ける。

 

感想

これほど密度の濃い物語は他にないと思います。

二人の心理描写が一切ないので本当に二人は何を考えているかは全くわからず想像するしかないのですが、そこもまたこの物語が読者にとって特別なものになっていると思います。

この事件の犯人は亮司が雪穂のどちらかですが基本的に実行犯は亮司で雪穂が手を汚すことはあまりありません。

このことから雪穂が亮司を利用しているだけという説もちらほら見ますが、そうではなく二人の間には強固な信頼関係があると思っています。

その理由として雪穂は部下の浜本夏美に亮司のことを太陽の代わりと例えて話していること。

これは亮司が雪穂にとって太陽という唯一無二の存在であることを意味しています。

また雪穂が経営するブティックの店名からも信頼関係を感じられます。

店名の「R&Y」はおそらく亮司と雪穂の頭文字です。

その際に自らの頭文字のYよりもRを先に置いているあたりに雪穂が亮司を尊重していることが現れているのだと思います。

 

色々と考察しましたが本当に面白い一冊です。

未読の方はぜひ読んでみてください。

 

 

 

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