【小説】模倣犯|ネタバレと残された謎

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今回の記事は宮部みゆきさんの模倣犯についてのネタバレ解説&残された謎についての記事です。

今更感がありますが先日読んだ「火車」が面白かったので続けて宮部さん作品を読んでいます。

あらすじ

公園のゴミ箱から発見された女性の右腕、それは史上最悪の犯罪者によって仕組まれた連続女性殺人事件のプロローグだった。比類なき知能犯に挑む、第一発見者の少年と、孫娘を殺された老人。そして被害者宅やテレビの生放送に向け、不適な挑発を続ける犯人――。が、やがて事態は急転直下、交通事故死した男の自宅から、「殺人の記録」が発見される、事件は解決するかに見えたが、そこに、一連の凶行の真相を大胆に予想する人物が現れる。死んだ男の正体は? 少年と老人が辿り着いた意外な結末とは? 

 

ネタバレ

ネタバレがあるので未読の方はご留意ください。

 

本作品は文庫本にして全5巻と大変ボリューム感がある作品ですが、メインとなる事件は二人の犯人による「連続女性殺害事件」のみです。

この「連続女性殺害事件」を被害者の家族、警察、犯人等のあらゆる視点から描いているので長いと感じることがなく最後まで飽きずに読むことが出来ます。

 

それではネタバレいってみましょう。

登場人物を紹介する形でネタバレしていきます。

 

栗橋浩美

連続女性殺害事件の2人組の犯人の1人。網川の策略で幼馴染の高井に事件の罪を着せようとする。最終的には高井の説得に従い自首しようとするが、高井と死体を乗せた車を運転する最中に事故を起こして死亡する。死亡後は高井とともに事故の容疑者となる。

網川浩一(ピース)

連続女性殺害事件の2人組の犯人の1人。実質的な主犯で栗原を操って実行犯を担当させていた。
事故で栗原と高井が死亡し二人が世間から容疑者扱いされた後は、それを逆手にとり、高井の無実を証明するためテレビに出る。

真犯人である網川は高井が犯人でないことに対して説得力のある説明を行い世間の支持を得るが、最終的には全ての嘘がばれて逮捕される。

高井や栗橋からピースというニックネームで呼ばれている。

理由もなく人を傷つけるのが本当の「悪」だという思想を持っている。

 

高井和明

栗橋浩美の幼馴染。網川に操られている浩美を助けようとした。最終的には栗橋の説得に成功するも栗橋が車の運転を誤り事故死する。

事故死した際の車の中には網川と栗橋が殺害した死体があったため、栗橋とともに事件の容疑者とされる。

おっとりした性格。気は優しくて力持ちといった感じ。

 

高井由美子
高井和明の妹。兄の和明の無実を証明したいという気持ちを網川に利用される。最終的には網川の策略で心を追い詰められて自殺する。

 

武上
優秀な刑事。高井は犯人ではないと疑問を持つ人物。

 

前畑滋子
事件を追うジャーナリスト。テレビで網川の嘘を暴き逮捕まで導いた。

 

有馬義男
被害者の家族。犯人である栗橋と電話で何度か接触をする。優しいおじいちゃん。

 

塚田真一
事件の第一発見者である高校生。その後も事件の関係者たちと様々な形で関わる。

 

また文庫本全5巻の内容をおおまかに分けるとこんな感じになります。

文庫1巻 
事件の開始から栗橋&高井の事故死までを、主に警察&被害者の家族の視点から描く。

文庫2巻~3巻
事件の開始前から栗橋&高井の事故死までを、主に栗橋&高井の視点から描く。
犯人が栗橋&ピースであることが明かされます。

文庫4巻~5巻
栗橋&高井の事故死からピースこと網川の逮捕までが描かれている。

 

残された謎

謎ということのほどでもないのですが、管理人の疑問点を挙げていきます。

 

声紋の照合

真一が高井和明の無実を証明するために出した案。

高井の性格からして栗橋が犯人かもしれないと疑い、相談する場所がないためどこかの相談所に匿名の電話相談をしているかもしれない。

そしてその電話相談先で録音をしているかもしれないから、声紋を照合し無実を証明できないかというものです(犯人二人はテレビ局に電話をかけており、その時の声が録音されているため声紋照合が可能)。

確かに和明は匿名の電話相談を使用していたのですが、そもそも匿名なので声紋照合が出来るのか疑問です。

もちろん親しい人が聞けば匿名の電話相談で録音された声が和明の声だとわかると思いますが、それが証明にはならないと思うので結局声紋照合は難しいのではと思いました。

 

網川にピースというニックネームを使った理由

文庫本2巻~3巻の犯行が描かれるシーンでは網川という名前は一切出てこず、終始ニックネームであるピースという呼ばれ方をしていました。

ミステリー好きならピンと来ると思うのですが、ニックネームで呼ばれている人物がいる場合、別のシーンで本名で既に登場していて、最後にその人物=ピースだったのかー!という展開になるかと思いきや全くそんなことはありませんでした。

これなら最初に網川という名前だがピースというニックネームで呼ばれていると書いておいても支障はないと思うのですが、宮部さんには何らかの思惑があったのでしょうか。

ピースの正体はかなり気になっていたため肩透かしを食らった感じでした。

 

あとがき

事件を表と裏から見ることで全く別の解釈が出てくるのが面白いですね。

犯人の二人が誰であるかは文庫本2巻で明らかにされているのに5巻までこの面白さを維持できるのは驚きでした。

長いと思って敬遠されている方はぜひ読んでみて下さい。

長さを感じることなく一気読みしたくなりますよ。

 

 

 

 

 

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