【小説】ホワイトラビット|徹底ネタバレ解説

伊坂幸太郎さんのホワイトラビットです。

一読しただけでは理解するのが難しいという方のためにわかりづらい点をネタバレしていきます。

久しぶりの伊坂さんですが最後にパズルが組み合う感じが最高に気持ちいいですね。

ただし時系列がバラバラなので一読しただけでは何がなんだかわからなかったという方のために、わかりづらい点をネタバレしていきます。

管理人の好きな黒澤さんも出てきて満足できる一冊でした。

あらすじ
仙台で人質立てこもり事件が発生。SITが交渉を始めるが―。伊坂作品初心者から上級者まで、没頭度MAX!書き下ろしミステリー。
「BOOK」データベースより

ネタバレ

色々とネタバレしていきますので未読の方はご注意下さい。

登場人物

まずは登場人物紹介です。

・黒澤
空き巣。副業は探偵。

・中村
空き巣。今村と組んで空き巣行っている。一応今村の上司にあたる。

・今村
空き巣。中村と組んで空き巣行っている。

・折尾
稲葉が運営する犯罪グループのコンサルタント。オリオン座について薀蓄がある。
犯罪グループの資金を持ち逃げして逃亡しているため稲葉達に終われている。

・稲葉
犯罪グループのボス。元々は振込詐欺を行っていたが、あまりにも簡単にうまくいってしまうため物足りなさを感じ、もっとリスクのある誘拐ビジネスに手を出した。
犯罪グループの資金を持ち逃げした折尾を捕まえるためにグループの構成員である兎田の妻である綿子を誘拐し、兎田に折尾を探すように脅しをかける。

・兎田
稲葉が運営する犯罪グループの末端構成員。グループ内では仕入係と称して誘拐を専門としていた。
新妻の綿子を稲葉に人質に取られて、折尾を探すように命令されている。

・夏之目
特殊事件捜査係。今回の立てこもり事件の捜査指揮を務める。
過去に妻と娘を交通事故で亡くした経緯がある。
事故の原因は老女が運転する車にひかれたことによるものだが、老女は占い師に騙されて金銭をだまし取られて衰弱しきっていたことが間接的な原因であった。
夏之目は占い師にそのことを問いかけると全く占い師に反省の色が見えなかったため、射殺してしまった。
夏之目はその時から自分の感情を押し殺して生活するようになった。

・勇介
普段からついていない青年。ひょんなことから逃走中の折尾に因縁をつけられる。身を守るために折尾を押し倒してしまい、折尾は頭をぶつけて死亡してしまう。
母親に相談し、折尾の死体を自宅の2階に隠す。

・勇介の母
折尾を誤って殺害してしまった息子の勇介をかばうために、折尾の死体を自宅の2階に隠した。
自宅の2階から折尾を落として転落死を装うつもりであった。

疑問点まとめ

わかりづらい点をネタバレしていきます。

Q1
ざっくりとした時系列を知りたい

A1
本作は視点がめまぐるしく変わる上に時系列もバラバラです(そこが最後にぴったりかみ合うのが気持ちよいのですが)。
そのためいまいち時系列がわかりづらいという方のために主な時系列を記載します。

・折尾が組織の金を持ち逃げする。

・兎田の妻である綿子が稲葉に誘拐される。兎田は脅されて折尾を探すことになる。

・今村が空き巣に入る際に間違えて隣の勇介の家に入ってしまう。また黒澤が空き巣に入った際に残しておく盗んだ物を記載するための領収書を勇介の家に落としてしまう。

・勇介が折尾を正当防衛で殺害してしまう。折尾の死体を自宅の2階に隠す。

・黒澤が今村が落とした領収書を回収するために勇介の家に侵入する。それと同時に兎田も折尾を探すために勇介の家に侵入する。兎田が勇介の家に入ったのは折尾のバックにつけた発信機の反応があったため。
※勇介たちは折尾の死体を自宅に持っていく際に折尾のバックも回収していたため、勇介の家から発信があった。

・兎田は黒澤、勇介、勇介の母を監禁する。折尾が死んでいることに気付き稲葉の要求を満たすことが不可能なことに気付く。

・兎田は黒澤、勇介、勇介の母と手を組み綿子を助けるために狂言立てこもり事件を起こすことにする。

・黒澤の依頼で勇介たちの隣の家で今村と中村が狂言の立てこもり事件を起こす。

・今村と中村は折尾を連れてくるように警察に要求する。黒澤が折尾に成りすまして警察に連れられてくる。

・黒澤は警察の要求に応じて犯人と接触する代わりに稲葉の携帯番号の逆探知を警察に依頼する。

・勇介の家に潜伏していた兎田は黒澤が突き止めた稲葉の位置情報をもとに綿子を助けにいく。今村と中村、そして黒澤と夏之目も兎田の後を追う。

・無事に綿子を助け出す。

Q2
なぜ夏之目は感情を押し殺すようになったのか?

A2
妻と娘の仇ともいえる占い師を射殺したため。
なお夏之目は狂言立てこもり事件の解決後に自首する。

Q3
勇介が誤って殺害してしまった折尾の死体はどのように処理したのか?

A3
勇介の隣の家(狂言立てこもり事件の現場)に移した後、立てこもり犯が2階から飛び降り自殺をしたように見せかけて処理をした。ただしその後勇介たちが自首したため2階から飛び降りて死亡したのではなく元から死体であったことが明らかになる。

Q4
狂言立てこもり事件をマスコミに放映するように通達したのはなぜか?

A4
現場を中継することで稲葉に兎田が身動きが取れないことを見せるため。

感想

これぞ伊坂さんという作品でした。

目まぐるしく変わる視点、バラバラの時系列、これらが最後にぴったりかみ合った時に感じる快感。

これがあるから伊坂作品を読むのはやめられないんですよね。

未読の方はぜひ読んで欲しい一冊です。

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