【東野圭吾】魔力の胎動|全話ネタバレ感想

小説

時系列的に「ラプラスの魔女」の前の話となる「魔力の胎動」の全話ネタバレです。

あらすじ
自然現象を見事に言い当てる不思議な力。君はいったい何者なんだ?『ラプラスの魔女』前日譚。
「BOOK」データベースより

ネタバレ

全5編からなる短編小説です。

本作はラプラスの魔女の前日譚となっています。

第1章から4章の主役は工藤ナユタとラプラスの魔女で登場した羽原円華。

工藤ナユタは鍼灸師であるとともにかつて子役を営んでおり、ラプラスの魔女で登場した「甘粕 才生」の映画で主演を演じた人物です。

第5章の主役はラプラスの魔女に登場した青江教授と助手の奥西哲子の二人です。

それでは早速ネタバレいってみましょう。

第1章 あの風に向かって翔べ

<登場人物>

・工藤ナユタ
鍼灸師。かつて子役として「甘粕 才生」の制作した映画に出演した過去を持つ。

・羽原円華
天才外科医羽原博士の娘で全ての物理現象を予測することが出来るラプラスの魔女。

・坂屋
スキージャンプのベテラン選手。現在は全盛期を過ぎて引退について考えている。

<内容>

工藤ナユタと羽原円華が初めて出会った話。

ベテランスキージャンパーの坂屋は昔のように思ったとおりのジャンプが出来ず悩んでいた。

引退も視野に入れていたがどうしてもまだあきらめきれない理由があった。

それは妻と子供のシュウタに自分が優勝する姿を見せたいという思いからだった。

そんな思いを抱えつつも勝てない日々が続きとうとう坂屋は引退を決意する。

しかし円華に自分が指示するタイミングで飛べば必ずいい結果が出ると説得され、もう一度ダメ元で試合に出る決意をする。

1本目のジャンプは円華が風がちょうどよいタイミングで飛ぶことを指示したため、坂屋はトップに立つことになる。

自信を取り戻した坂屋は意気揚々と2本目のジャンプに向かう。

しかし円華は坂屋の2本目のジャンプのタイミングでちょうどよい風のタイミングがないことを知っていた。
どのタイミングで飛んでも悪条件だったのだ。

どのタイミングで飛んでも悪条件なことを知っていた円華は坂屋のことをずっと見守っていた坂屋の妻にお願いをし円華の格好をし、坂屋に飛ぶタイミングを指示して欲しいと伝える。これが坂屋の最後のジャンプになると付け足して。

坂屋の妻は当然円華のように風のタイミングを予測することなどできない。しかし精一杯の気持を込めて坂屋に飛ぶタイミングを指示する。

2本目も円華から指示が出ていると思った坂屋は自信をもって飛ぶ。

1本目で自信を取り戻した坂屋は悪条件にも関わらず全盛期のようなジャンプを披露し優勝を飾るのであった。

第2章 この手で魔球を

<登場人物>

・工藤ナユタ
鍼灸師。かつて子役として「甘粕 才生」の制作した映画に出演した過去を持つ。

・羽原円華
天才外科医羽原博士の娘で全ての物理現象を予測することが出来るラプラスの魔女。

・石黒
プロ野球選手。
ナックルボールのみを投げる珍しい投手。

・三浦
プロ野球選手。
三浦のナックルボールを唯一捕球出来る捕手。
膝を怪我しており引退を検討している。

・山東
2軍のプロ野球選手。
三浦に次の石黒の捕手役に指名されている。

<内容>

石黒のナックルボールを一向に捕ることが出来ない山東にナユタと円華が一肌脱ぐ話。

円華は物理現象を全て予測することが出来るので石黒のナックルボールもどのように変化するのか全て予測することが出来た。

そのため山東の目の前で円華がナックルボールを捕ることでプロとしての根性を思い出させる作戦をナユタ、石黒、三浦、円華の4人で考えた。

作戦は成功し円華が物理法則を予測することが出来ない山東は、練習すれば円華のような女の子でもナックルボールを捕ることが出来るのだとショックを受けて、自分にもナックルボールは捕れると自信を持ち石黒と練習することになるのであった。

第3章 その流れの行方は

<登場人物>

・工藤ナユタ
鍼灸師。かつて子役として「甘粕 才生」の制作した映画に出演した過去を持つ。

・羽原円華
天才外科医羽原博士の娘で全ての物理現象を予測することが出来るラプラスの魔女。

・脇谷
ナユタの高校時代の親友。

・石部
かつてのナユタと脇谷の恩師。

・石部夫人
石部の妻。川でおぼれてしまった息子のミナトを助けられなったことを悔いている。

・石部ミナト
石部夫妻の一人息子。もともと発達障害があった。
家族3人で川に遊びに行った時におぼれてしまい植物状態になってしまう。

<内容>

石部は息子のミナトが溺れた際に妻も川に飛び込んで助けようとしたが、石部は妻まで溺れてしまうことを懸念して妻が飛び込むのを止めた。

しかしその後妻からなぜ飛び込ませてくれなかったのか、あのまま私が助けにいっていたらミナトは助けられたと主張され、何が正しいのかわからなくなってしまう。

円華は物理法則を予測する能力を使い、ミナトが溺れた日と同じ条件の日を選んで、人形で実験をしてみる。

もしミナトを助けに石部夫人も飛び込んでいたらどうなるのかという実験だ。

結果、ミナトの人形は実際と同じように途中の岩で引っかかっていたが、大人の石部夫人の人形は滝から落ちるという結果になった。

石部が妻を助けたことは間違いではなかったことが証明されたのだ。

結果石部は気力を取り戻した。

そして石部夫妻はミナトを回復させることが出来る可能性のある羽原博士の手術を受けることを決意したのであった。

第4章 どの道で迷っていようとも

<登場人物>

・工藤ナユタ
鍼灸師。かつて子役として「甘粕 才生」の制作した映画に出演した過去を持つ。

・羽原円華
天才外科医羽原博士の娘で全ての物理現象を予測することが出来るラプラスの魔女。

・朝比奈
天才ピアニスト。同性愛者。
自らがパートナーの尾村との同性愛を世間に公表した結果、尾村が世間からの偏見に悩まされて自殺したのだと考えて生きる気力を失っていた。

・尾村勇
朝比奈のパートナー。山の崖ぶちから落ちて死亡してしまう。
自殺と思われていたが実は・・・・

<内容>

朝比奈は自分が同性愛であることを公表したせいでパートナーの尾村が崖から飛び降りて死亡したと考えていた。

その朝比奈の考えに疑問を持ったナユタと円華は実際に尾村が転落した崖まで行ってみることにする。

尾村が山の天気を入念に調べていたことから、天気が何か尾村の転落死と関係していると考えた円華は出来るだけ山の天気が尾村が死亡した日と同じ日を選んで向かった。

実際に山の崖まで行くと、その崖は天候によっては突風が吹いており、その突風のせいで尾村が崖から転落死したことが明らかになる。

また崖の下には大きな空洞があり、風が吹く日には自然の音楽が聞こえることがわかった。

ちょうどそのころ朝比奈は「生きている地球」を感じられるような作曲を依頼されて、どのような曲を作っていいかわからず苦しんでいた。

尾村はその朝比奈の助けに少しでもなればと自然が奏でる音楽を録音しに各地を回っていたのであった。

尾村が自殺したのではなく自分のために頑張っていてくれたことを知った朝比奈は再び立ち上がることを決意する。

第4章のサブストーリーとしてナユタの話がある。

ナユタはラプラスの魔女に登場する甘粕 才生が制作した「凍える唇」に13歳の時に主演で登場していた。

様々な性を題材に扱ったその映画でナユタは同性愛に目覚めたこと、プロデューサーの水木に犯されたことが明らかになる。
※円華がナユタにここまで関わっていたのは甘粕 才生の映画にかかわった人を救いたいという甘粕 謙人の意思からだった。

また本章の最後でプロデューサーの水木が硫化水素を吸って中毒死した記事が新聞に載っている。
※ラプラスの魔女の前日譚であることが明らかになる。

第5章 魔力の胎動

<登場人物>

・青江教授
泰鵬大学の教授。

・奥西 哲子
青江の助手

<内容>

ラプラスの魔女が始まる3年前に青江教授と奥西 哲子が温泉地での硫化水素による中毒死を調査する話。

3人家族が硫化水素の事故で亡くなった。

当初は無理心中とみられていたが青江教授が調査をする内に、実は家族で宝さがしゲームをしており、地図を見間違えた妻と子供が硫化水素が発生する危険な地帯に入ってしまい中毒死し、そして助けようとした父親も中毒死したことを明らかにした。

また調査の最中に硫化水素を使って自殺を図ろうとした男を青江は事前に察知し助けることに成功した。

感想

どの短編もラストのオチが心温まるものばかりで読んでよかった1冊です。

個人的には「第1章 あの風に向かって翔べ」が好きです。

ベタなのですが最後に自信を取り戻した坂屋が円華の力に頼らず、奥さんの合図でベストジャンプを披露する姿にぐっときました。

未読の方はぜひ読んでみて下さい。

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