異色の恋愛小説|乾くるみのセカンド・ラブのネタバレ解説

イニシエーション・ラブより少し読み解くのが難しかった。

イニシエーション・ラブと同じくただの恋愛小説ではなく伏線と謎がちりばめられた恋愛ミステリーです。

最初に読んで何個か疑問に思うところがあったので、何回か読み直して解決した管理人なりの解釈を書いていきます(違っている可能性も大いにあります)。

 

 

以下ネタバレ注意!!

 

 

ネタバレ解説

Q1
正明があった春香と美奈子は同一人物だったのか?

A1
同一人物。本物の美奈子は正明が春香と出会う前に事故死していた。正明があった美奈子は春香の成りすまし。
ちなみに美奈子が自殺する前はお互いが入れ替わり、全く違う境遇の生活を楽しんでいたものと思われる。
また、シェリール入店時に美奈子は自殺しているので、シェリールに入店したのは美奈子になりすました春香。

 

Q2
序章の結婚式に登場した新郎は誰なのか?

A2
正明の職場の先輩である紀藤。正明は幽霊として春香と紀藤の結婚式を眺めている。序章は幽霊になった正明の視点で語られている。

一緒にスキーに行くほど神父と仲の良かった女性も、新郎と仲の良かった男性も、披露宴には招かれていない。

招待状も出されていないのだ。

セカンド・ラブ 乾くるみ 文春文庫13P

上記の仲の良かった女性はスキーに行った当時に新郎の紀藤と交際していた高田尚美であり、別れて友達の春香と結婚した紀藤の式に呼ばれるはずもなく、新郎と仲の良かった正明は春香に振られたショックで自殺しているため当然招待状は出されていない。

 

Q3
美奈子に成りすました春香が正明を誘惑した理由は?

A3
作中で明記がないため完全な推測だが、正明が美奈子の誘惑を断れるつよい人間か試したものと思われる。

 

Q4
なぜ正明は自殺したのか?

A4
美奈子の秋田の実家に行き、美奈子が既に亡くなっていることを知り、春香と美奈子が同一人物であるとわかり、春香が美奈子として紀藤と関係を持ったことを確信し、春香にどちらを取るか選択を迫ったところ春香が紀藤を選択しショックを受けたため。

 

 

Q5
春香は正明を一時的にでも好きであったのか?

A5
これはYesだと思う。恐らく春香は美奈子と春香の一人二役をこなすうちに本当に自分の中に二つの人格が出来てしまったのではないか。
正明と出会った頃の春香は正明を純粋に好きだったのだと思う。
終章に出てきた春香は紀藤と一緒に正明のことをあざ笑っているように描かれているが、これはずっと春香と美奈子の二重生活をしていたため自分の本当の人格がわからなくなって破綻していたのではないかと考えられる。

 

まとめ

ミステリーものとしては非常に面白かったです。

ただ登場人物に魅力を求める人にはお勧め出来ません。

主人公の正明は思い込みが激しい性格であまり共感出来ないし、紀藤はいい先輩のふりをして後輩の彼女に手を出すくずだし、春香も人格破綻しているとはいえ、そもそも自分が好きで始めた二重生活がきっかけなので同情出来ません。

そこら辺を気にせず、謎を紐解くのが好きな人には何度も読み返せて楽しめるお勧めの一冊です。

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