【小説】斜め屋敷の犯罪|徹底ネタバレ解説

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島田荘司氏による御手洗潔シリーズの第2弾「斜め屋敷の犯罪」のネタバレ感想記事です。

デビュー作の「占星術殺人事件」が面白かったので第2弾も読んでみました。

 

あらすじ
北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館―通称「斜め屋敷」。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか!?日本ミステリー界を変えた傑作が、大幅加筆の改訂完全版となって登場!
「BOOK」データベースより

 

 

 

ネタバレ

ここからネタバレしてきますので未読の方はご留意ください。

 

 

 

 

 

登場人物

作品の主な登場人物です。

犯人もネタバレしますので未読の方はご留意ください。

 

・浜本幸三郎(68歳)

事件の犯人。

ハマー・ディーゼルの会長であり、斜め屋敷流氷館の主人。

斜め屋敷の構造を利用し、上田一哉と菊岡栄吉の二人を殺害した。

 

・浜本英子(23歳)

浜本幸三郎の末娘。斜め屋敷の住人。

美人だが気が強い。

・早川康平(50歳)

斜め屋敷の住人。住み込みで運転手兼執事の仕事をしている。

過去に一人娘が菊岡栄吉にもてあそばれたことがあるため栄吉を憎んでいる。
※更に娘はその後事故死してしまった。

 

・早川千賀子(44歳)

康平の妻。斜め屋敷の住人。

住み込みで家政婦の仕事をしている。

康平同様に栄吉を憎んでいる。

 

・梶原春男(27歳)

斜め屋敷の住人。

腕のあるコックとして住み込みで働いている。

 

・菊岡栄吉(65歳)

事件の第二の被害者

キクオカ・ベアリングの社長。

嫉妬深く女好き。

斜め屋敷に招待された。

ハマオカ・ディーゼルのおかげで会社を大きくすることが出来た。

 

・相倉クミ(22歳)

菊岡栄吉の秘書。実態は愛人。

斜め屋敷に招待された。

 

・上田一哉(30歳)

事件の第一の被害者

菊岡のお抱え運転手。

 

・金井道男(47歳)

キクオカ・ベアリングの重役。

斜め屋敷に招待された。

栄吉をおだてることで現在の地位を手にいれた腰巾着。

 

・金井初江(38歳)

金井道夫の妻。

斜め屋敷に招待された。

元菊岡栄吉の愛人。

 

・日下瞬(26歳)

医大生。

斜め屋敷に招待された。

浜本英子の結婚相手候補の一人。

 

・戸飼正樹(24歳)

東大生。

斜め屋敷に招待された。

日下と同じく浜本英子の結婚相手候補の一人。

 

・浜本嘉彦(19歳)

慶応大学一年。

斜め屋敷に招待された。

幸三郎の兄の孫。

 

 

事件概要

本作は2つの事件に分かれています。

事件ごとに概要を語っていきます。

 

・上田一哉殺害事件

最初の事件。犯人は浜本幸三郎。

本来浜本幸三郎の標的は菊岡栄吉ただ一人であり、上田一哉を殺す必要はなかった。

しかし上田一哉は早川夫妻から菊岡殺しを依頼されていた。

上田自身も菊岡に対して恨みを持っていたことから引き受けた。

幸三郎は早川夫妻を介して上田に手を引くように連絡するが、上田の殺意は固かった。

幸三郎自身はなんとしても自分の手で栄吉を殺害する必要があったため(後述)、上田を殺害したのであった。

事件自体は非常に単純なもので、幸三郎が上田一哉のいる10号室を訪ねてナイフで刺殺。

その後トリックで密室を作り出し、雪の上の足跡を消したのであった。

密室については砲丸と糸を使って後から作り出した単純なもの。

もう一つは足跡。

上田一哉が宿泊していた10号室に向かうには一度外に出る必要があり、その際に雪の上を歩くのでどうしても足跡が残るはずだった。しかし幸三郎の足跡はなかった。

これは幸三郎が10号室に訪れる際に斜め屋敷の軒下を歩き、殺人が終わった後に屋根に上り屋根の雪を落とすことによって、自らの足跡を消したため。

またどうしても軒下以外を歩かなければならない場合は幸三郎のコレクションの人形を雪の上にばらまきその上を歩くことで足跡を残さないことに成功した。

 

・菊岡栄吉殺害事件

2番目の事件。犯人は浜本幸三郎

動機もトリックも複雑。

<動機>

幸三郎が若いころ村田発動機という会社で働いていたころ、社長の一人娘冨美子と良い仲であり結婚が近づいていた。

その時政治家の次男坊の平本という男が現れて、冨美子に目をつけた。

平本はどうしようもない男で結婚したら冨美子が不幸になることは目に見えていたが、冨美子の父親は政治家の息子ということもあって平本と冨美子の結婚を前向きに考えていた。

何とかしなければと考えている幸三郎のもとに野間という古い友人が現れた。

野間が幸三郎のいる東京に表れたのは、戦時中に上官に受けた恨みをはらすためであった。

野間は戦時中にある現地人の娘と恋仲になったのだが、上官がその娘をスパイ容疑で逮捕し捕虜とした。

さらに戦争に負けそうになるや捕虜たちを一斉に銃殺するように命じたのだ。

恋人を上官に殺された野間は復讐を考えるようになった。

野間自身も体を壊しており、残りの命は長くなかった。

とうとう東京で上官を見つけた野間は肌身離さず持っていた弾が一発しか入っていないピストルで上官に復讐を果たそうとする。

しかしそのころの上官は戦争も終わり何もかも失って裸同然で、野間を見ても死はむしろ救いだ。という始末。

ここで殺しても意味はないと考えた野間は復讐の意欲を失う。

野間の一連の話を聞いた幸三郎。

幸三郎も近況報告を兼ねて冨美子の話をすると、野間は「オレが平本を殺してやる。そしてオレはもう長くないからすぐに死ぬだろう。だから代わりに今後上官に失うものが出来た時にオレの復讐を果たしてくれ。」と言う。

その上官こそが菊岡栄吉でした。

幸三郎はその提案を受け容れる。

平本が死亡した後は幸三郎は冨美子と結婚し、村田発動機を現在のハマオカ・ディーゼルまで発展させた。

その後幸三郎は菊岡と仕事の関係を装い近づき、キクオカ・ベアリングの発展を手助けし菊岡栄吉が現在の失いたくない地位を手に入れたところで復讐を果たそうとしたのであった。

<トリック>

斜め屋敷全体を用いたトリック。

そもそも斜め屋敷自体が菊岡栄吉を殺害するために作られた屋敷であった。

幸三郎の部屋から栄吉の宿泊している部屋までは階段と換気口をいくつか経由することで直線で繋がっており遮るものがなかった。

幸三郎はその構造を利用してツララ付けにしたナイフを使用し、階段を滑らせて、遠く離れた場所から部屋に入らず、栄吉を刺殺したのであった。

※ちょっと図がないとわかりづらいのですが、図をかくのは大変なので勘弁してください。

ポイントは斜め屋敷の構造を利用すると幸三郎の部屋から栄吉の部屋までは滑り台のように直線で繋がっており、凶器であるツララ付けのナイフを滑らせることで遠距離から栄吉を刺殺できるということです。

そのために栄吉が泊まる部屋のベッドは動かないように固定されていました。

決められた場所に栄吉が寝ていないと、遠距離からナイフで刺殺できませんからね。

 

 

感想

屋敷全体を利用したトリックというのも大がかりで面白いのですが前作の占星術殺人事件と比較するとワンランク落ちる感は否めません。

占星術殺人事件のトリックが凄すぎたというのもありますが。。。

また登場人物に好感を持てる人物が少なく犯人の幸三郎が一番好感を持てそうです。

あと前作でも書いたのですが、やはり誰がどのセリフを言っているのかわからなくなるシーンが多々ありました。

とりあえず御手洗潔シリーズを全部読んでまた再読しようかなと思います。

 

未読の方はぜひ。

 

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