最近百田さんの作品を読みあさってます。今回は多重人格者を題材にしたプリズムです。
あらすじ
ある資産家の家に家庭教師として通う聡子。彼女の前に屋敷の離れに住む青年が現れる。ときに荒々しく怒鳴りつけ、ときに馴れ馴れしくキスを迫り、ときに紳士的に振る舞う態度に困惑しながらも、聡子は彼に惹かれていく。しかしある時、彼は衝撃の告白をする。「僕は、実際には存在しない男なんです」。感涙必至の、かつてない長編恋愛サスペンス。
ネタバレ
多重人格の人は複数の一つの肉体に対して複数の人格を持つ。その中の特定の人格とのみ恋愛が出来るのか。
本作は既婚女性32歳の聡子が岩本家の家庭教師になるところから始まる。生徒となるなる岩本家の少年修一は優秀で順調に家庭教師の仕事をこなしていたある日。
修一の叔父である広志と出会う。広志とは家庭教師に行った時にたまに顔を合わせるが違和感を覚える聡子。なぜなら広志の性格が会う度に全く違うからだ。
その後聡子は広志が多重人格者であることを知る。これには驚きを隠せなかった聡子だが多重人格者ということに興味を持ち積極的に関与するようになる。
そして広志が自分の理想となる人格として作り出した完璧なキャラクター卓也に心を惹かれるようになる。
しかし卓也は自分はいずれ消える運命にあるという。なぜなら広志は多重人格の治療をしており、多重人格が治療されているということはオリジナルの人格である広志以外の他の人格は消えるか、広志の人格に統合されるためである。
既に卓也との恋に燃え上がっていた聡子は卓也に消えないように引き止めるが最終的に卓也は消えてしまう。
しかし卓也の人格は広志の人格に統合されており聡子との関係は全て広志の中の記憶に残っていた。広志は聡子に好意を伝えるが聡子もすぐには広志を受け入れられず、今後結ばれる予感を残しつつ幕を閉じる。なお聡子は既婚者であったが旦那の浮気を理由にエピローグの時点で離婚している(聡子も卓也と浮気をしているためお互い様と言える)。
感想
主人公の聡子に最後まで共感できず。聡子は自分の感情を全く抑えきれていないという印象。広志の治療のためにも卓也の人格は消えなければならず卓也もそれを望んでいるのに自分がただそばにいて欲しいからという理由で泣いて喚き散らすシーンはちょっとなと。
聡子が若ければもう少し共感出来たのかもしれないけど32歳の既婚女性なので単なるわがままにしか見えなった。それほど恋は盲目ということを百田さんは書きたかったかもしれないが。
ストーリー自体は多重人格者について詳しく書かれており内容としては面白かった。特に人格が2つという多重人格者は稀で10近い人格を持つ多重人格者がほとんどというのは初めて知った。
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