ネタバレ感想:ボックス!『百田尚樹』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

思わずグッとくる青春ボクシング漫画。ボクシングを知らなくても楽しく読めます。

あらすじ

天才的なボクシングセンス、だけどお調子者の鏑矢義平と、勉強は得意、だけど運動は苦手な木樽優紀。真逆な性格の幼なじみ二人が恵美寿高校ボクシング部に入部した。一年生ながら圧倒的な強さで勝ち続ける鏑矢の目標は「高校3年間で八冠を獲ること」。だが彼の前に高校ボクシング界最強の男、稲村が現れる。

 

ネタバレ感想

ネタバレを交えた感想なので未読の方はご留意下さい。

ボクシングを知らなくても楽しめる

本作は高校のボクシングを舞台にした青春小説であるがボクシングを知らなくても楽しめる。それは作中で高校ボクシングの舞台について説明があるからだ。アマチュアである高校ボクシングとプロの違い、選手ごとの戦闘スタイル、練習の方法等々本当に細かく書かれている。作者の百田さんはかなり取材をしたのではないだろうか。

例えばルール上の違いでプロは相手をノックアウトすることを重視するため、1つ1つのパンチを強く打つが、アマチュアである高校ボクシングは判定で勝つために1つのパンチを強く打つよりも多くのパンチを相手に当てることに重視するという。¥

こういう説明が詳しく随所でなされるので「なるほど」と思いながら読み進めていくことが出来る。

木樽と鏑矢

本作は木樽と鏑矢という二人の親友が主人公だが、鏑矢視点での記述はない。物語は木樽と耀子の視点で話は進んでいく。

なので鏑矢が何をどう考えているかは木樽と耀子の視点からしかわからず、あとは読者の想像にゆだねられている。

ボクシングの天才である鏑矢は親友であり運動が苦手な木樽をボクシング部に勧誘する。

どう見ても才能がなさそうな木樽は周囲からすぐ辞めるだろうと思われていたが、しかし真面目で素直な性格を活かして監督の指導に忠実に従いめきめきと上達していった。そして何より木樽はボクシングを好きになった。

あっという間に他の部員を抜き、鏑矢に次ぐ部のナンバー2になった木樽。しかしこの時点ではまだ鏑矢に歯が立たなかった。

しかしその後事件が起きる、鏑矢が高校ボクシング界のモンスターと言われている稲村と試合をする。あっさり負けてしまった鏑矢はボクシング部を辞めてしまうのだ。

鏑矢が辞めてもボクシングを続けた木樽はその間にも更に実力を増して新人戦で優勝するまでになった。

そして鏑矢がボクシング部に戻るきっかけとなる事件が起きる。鏑矢達を支えてくれていたマネージャーの丸野が病死してしまったのだ。復帰を願っていた丸野の想いを受け止めた鏑矢はボクシング部に舞い戻る。

次の大会で木樽と鏑矢は同じ階級で大会にエントリーすることになった。大本命の稲村が欠場する中、二人は決勝で対戦する。

いくら木樽が実力をつけていてもまだまだ鏑矢有利と見られていた対戦だったが、木樽が圧倒しKO勝ちで勝利する。

本当の天才は自分ではなく木樽の方だったと感じた鏑矢は、以後は打倒稲村を木樽に託して自分は木樽の練習パートナーとして過ごすことにする。

鏑矢と練習した木樽はさらに実力を上げていた。一方鏑矢も自分の師匠がいるプロのジムで鍛えており、陰ながら自身の実力向上に努めていた。

そして迎えた国体予選。ライト級には鏑矢と木樽、そして二人の目標となる稲村がエントリーした。順調に勝利し決勝に駒を進めた鏑矢。一方木樽は準決勝で稲村と対戦した。スピード、テクニック、パンチ力、全てにおいて稲村を上回った木樽だったが、勝利への執念で稲村に及ばずKO負けとなった。木樽は打倒稲村を鏑矢に託した。

決勝戦で再度対戦することになった鏑矢と稲村。前回の対戦で圧倒的に勝利したため稲村有利と見られていたが、今回の鏑矢は一味違った。もともと練習嫌いだった鏑矢が、木樽の練習パートナーを務めることと、プロのジムで鍛えることにより過去最高の仕上がりになっていた。試合序盤は前回の敗戦の記憶から臆していた鏑矢だったが、徐々に本来のスピードを発揮し、稲村に打ち勝つようになる。そして遂には稲村に勝利する。

エピローグ

10年後のボクシング部に再度顧問として戻ってきた耀子。今でも亡くなったマネージャー丸野の写真が守護神として飾られていた。

インターハイ2連覇、高校三冠を成し遂げた木樽は部員にとって伝説的存在となっていた。10年たった今では検事として活躍している。

そしてモンスター稲村は高校卒業後プロに転向し、世界チャンピオンに輝いた後7度の防衛に成功しており無敗のまま引退した。稲村の唯一の敗北は高校時代の鏑矢に負けた1戦のみであった。

そして鏑矢は稲村に勝利した際、指を骨折してしまいその後も慢性的に怪我に悩まされ高校時代一度も優勝することなくマネージャーに転向した。高校卒業後は単身アメリカに渡りお好み焼き屋を成功させており、同時に格闘技も教えている。

まとめ

どう考えても強くなりそうにない木樽がメキメキと強くなっていく様子は見ていて爽快感がありました。努力の天才木樽。

結局最後木樽と鏑矢はどちらが強かったのだろう。鏑矢はもう木樽には勝てないと発言していたものの、木樽が負けた稲村に鏑矢は勝っているし。。

こういうことを考えられるのも読後の楽しみの一つです。個人的には能力的には木樽。でも逆境で能力以上の力を発揮するのが鏑矢という印象です。

ボクシング面白いです。

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加