ダイの大冒険における最高の伏線「シャハルの鏡」について語る記事です。
ダイの大冒険は広げた伏線を放置せず、きちんと回収していく漫画として有名です。
今回はその中でも管理人が特に気に入っている「シャハルの鏡」について取り上げようと思います。
シャハルの鏡
そもそもシャハルの鏡をご存知ない方のために説明しておきます。
シャハルの鏡は伝説の防具の一つで、ハドラ―が禁呪で生み出したハドラ―親衛騎団の一員である「騎士シグマ」が所有しています。
シャハルの鏡はもともとシグマの持ち物というわけではなくハドラ―から授かったものです。
※なぜハドラ―親衛騎団の中でシグマだけ特別に伝説の防具が与えられたかは不明です。
さすがに伝説の防具だけあってその効力は素晴らしく「全ての呪文を跳ね返す」ことが出来ます。
全ての呪文を跳ね返すことが出来るのでポップのメドローアすら跳ね返せます。
ダイの大冒険はオリジナル呪文が複数存在しますが、その中でもメラ系とヒャド系を合体させて放つメドローア(極大消滅呪文)はド派手な演出に加えて触れたものすべてを消滅させるというチート能力によって抜群の人気を誇りました。
ハドラ―親衛騎団はオリハルコンという特別な金属で出来ていて、通常の呪文は全く通じず、唯一通用する呪文はメドローアのみです。
だから物理攻撃がない魔法使いのポップにとってはメドローアはハドラ―親衛騎団に対して唯一有効な攻撃手段であるとともに一撃必殺でもあるわけです。
そんなオリハルコンする消滅させてしまう最強呪文メドローアですが弱点もあります。
それは呪文返しに弱いことです。
触れたもの全てを消滅されるという大きな威力の反面、相手に跳ね返された場合はパーティーを全滅に追い込みかねないのです。
万が一跳ね返された場合はもう一発メドローアを放ち相殺する以外防ぐ手立てはありません。
そのためポップの師匠でありポップにメドローアを伝授したマトリフは、2発撃てるMPが残っている状況でなければメドローアは撃つなとまで言っています。
少し話がそれましたが本題に戻ります。
なぜこのシャハルの鏡という呪文を跳ね返すことが出来る伝説の防具が登場したのか。
それはもちろんポップのメドローアを跳ね返すためでしょう。
仮にシャハルの鏡がなければ親衛騎団はメドローアに対する対抗手段が何もなくすぐに全滅してしまいます。
しかしその一つの理由だけで終わらないのがダイの大冒険のすごいところなのです。
シャハルの鏡にはもう一つ重要な存在理由がありました。
それは大魔王バーンの最強必殺技「天地魔闘の構え」を打ち破るという特別な役割でした。
それではシャハルの鏡の登場シーンから天地魔闘の構えを打ち破るまでの流れを見ていきましょう。
伏線|シャハルの鏡の登場シーン
シャハルの鏡が初登場したタイミングを見ていきましょう。
初登場シーンは持ち主であるシグマと同じく単行本19巻です。
親衛騎団が「死の大地」に向かおうとする人間たちをふるいかけるところでした。
シャハルの鏡の最初の出番は北の勇者ノヴァが放った氷系最強呪文マヒャドを跳ね返したことです。
この際ポップもメドローアを放とうとしており、ノヴァが先にマヒャドを放っていなければポップのメドローアが跳ね返されてダイともども全滅したことが想定されるのでノヴァの隠れたファインプレーといえるでしょう。
更にここでマヒャドを跳ね返したことで読者はポップともども、シャハルの鏡はメドローアも含めた全ての呪文を跳ね返すことが出来る危険な防具と印象付けられました。
さてその後の戦闘でもポップはシグマのシャハルの鏡を最大限に警戒します。
メドローアしか親衛騎団を倒すことが出来る呪文がないポップなので警戒は当然です。
メドローアを簡単に放てなくするというシャハルの鏡の一つ目の役割ですね。
結果的にこの後の戦いでクロコダインの必殺技「獣王激烈掌」が炸裂しシグマの左腕をシャハルの鏡ごと吹き飛ばすことが出来たためポップはメドローアを放ちます。
※結局ブロックの捨て身により親衛騎団を全滅させることは出来ませんでした。
そしてポップのメドローアを見て放ったシグマの発言が最後の天地魔闘の構えを打ち破るまでの長い長い伏線となります。
このシャハルの鏡だけはたとえ私が死んでも砕けん
我が肉体の一部ではなくハドラ―様からさずかった伝説の防具だからな・・・!!・・素晴らしい威力の呪文だ!
だが一度見せてしまったからには我が親衛騎団には二度と通用せん!・・・この私が意地でもそのまま気にお返しするからな・・・
フッフッフッダイの大冒険 単行本第19巻
初登場した第19巻の時点でシャハルの鏡はシグマの肉体とは別物のハドラ―から授かった伝説の防具なので、シグマが消滅しても無くならないことが明らかにされています。
これはとても重要な伏線です。
シグマが死んでも砕けないという設定を明かしておくことで、この先ダイ達がシグマが倒した後にもシャハルの鏡に「役割」があることを読者に伝えてくれているのです。
回収|天地魔闘の構え
第19巻で広げられた「シャハルの鏡はシグマが死んでも砕けない」という伏線の回収は第35巻まで待たなければなりません
ご存知のとおりシャハルの鏡は大魔王バーンの最強の必殺技「天地魔闘の構え」を破るという最大の見せ場があります。
余談ですが大魔王バーンの「天地魔闘の構え」はドラクエにおけるボスの複数回行動をうまく表現した必殺技で、バーンの強烈な技を3連発するものです。
<天地魔闘の構え>
フェニックスウイング :すべての攻撃を跳ね返す
カラミティエンド :最強の手刀
カイザーフェニックス :バーンのメラゾーマ。ただの火球ではなく不死鳥の形をしている。
上記の技を一瞬で放つのが「天地魔闘の構え」です。
この技に対抗するには当然こちらも3回行動を繰り出す必要があります。
ポップは戦いの中で天地魔闘の構えを放った後、バーンが硬直して隙が生まれることを見破ります。
そしてバーンに天地魔闘の構えを出させて、ポップ一人で受けることで、ダイに最大の攻撃機会を与えようとするのです。
天地魔闘の構えに対抗するためにポップは右手にブラックロッド、左手にイオラで対抗します。
バーンにも器用なことをする小僧だと評価されますが、それでもブラックロッドとイオラで2手です。
※またまた余談ですがポップも2回行動が出来ることになりますね。
バーンの3手には足りません。
そこで出番となるのでシグマを倒した時に譲り受けたシャハルの鏡でした。
天地魔闘の構えが発動しバーンがフェニックスウイングでポップのイオラを跳ね返し、更にカラミティエンドでポップのブラックロッドをへし折ります。
そして無防備になったポップにバーンのカイザーフェニックスと跳ね返したポップのイオラが直撃するはずでしたが、ポップの胸に仕込んであったシャハルの鏡がカイザーフェニックスとイオラをまとめて跳ね返すのでした。
かつてのライバルシグマから譲り受けた防具で最強の必殺技を破るという激熱な展開でしたね。
なおカイザーフェニックスとイオラ(イオナズン級の威力)を同時に跳ね返したことでシャハルの鏡は役目を終えて砕け散りました。
感想
管理人がダイの大冒険の中で一番と考えている伏線「シャハルの鏡」について記事を書きました。
第19巻で登場してから回収の第35巻まで実に16巻分もかかり長い伏線でした。
しかし逆に言えば第19巻の時点ですでに大魔王バーンの必殺技を打ち破る道具としてシャハルの鏡が活用される予定だったことになります。
当時は勢いで書いている漫画が多い時代でしたので、シャハルの鏡の伏線回収は非常に鮮やかなものだと言えるでしょう。
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