ダイの大冒険の記事です。
魔法使いポップの初期習得呪文からメドローアとマトリフ登場の伏線を考察していきます。
具体的にはポップが最初からメラゾーマを覚えている理由、メラ系ヒャド系以外の呪文を全く覚えていない理由を紐解いていきます。
ダイの大冒険の屈指の人気キャラポップ。
最初はダイを見捨てたりすぐに弱音を吐いたりと情けない姿を見せまくっていましたが、クライマックスでは大魔王バーンの脅威となる存在まで成長しました。
それと同時にただの弱い武器屋の息子であるポップが徐々に強くなる姿は読者を惹きつけて、一気に読者人気も獲得し、主人公のダイと並ぶもう一人の主人公と呼べる存在になりました。
さてそんなポップですがアバン先生に師事していただけあり、初登場時からメラゾーマを覚えています。
今回の記事ではポップの初期習得呪文からメドローアとマトリフ登場の伏線を考察していきます。
ポップの初期習得呪文について
ポップが初登場した時の習得呪文を改めて確認してみましょう。
ダイの大冒険では定期的に単行本にメインキャラのステータスが掲載されています。
もちろんポップについてもステータスが掲載されているの習得呪文を確認することが出来ます。
ポップのステータスが初めて掲載されたのは単行本3巻です。
そのため厳密にいうと初登場時のステータスではないのですが、1巻から3巻までにポップが新しい呪文を覚えている描写はないので初登場時も同じだと仮定しましょう。
※なおステータスについての詳細は下記を確認ください。
ダイの大冒険|主要キャラのステータスと装備品まとめ
さて単行本3巻に掲載されているポップはレベル18です。
習得している呪文はメラ、メラミ、メラゾーマ、ヒャド、ヒャダルコの5つとなっています。
メラ、メラミ、ヒャド、ヒャダルコはともかくレベル18でメラゾーマを覚えていることに違和感を覚えた読者は多いのではないでしょうか。
というのもダイの大冒険はナンバリングのドラクエ1~5のゲームをベースにしており、ドラクエ1~5ではメラゾーマはかなり上位の位置づけになっているからです。
例えばざっと攻略サイトで調べたところドラクエ1~5でのメラゾーマの習得レベルは下記のようになっています。
ドラクエ1 :習得しない
ドラクエ2 :習得しない
ドラクエ3 :レベル36で魔法使いと賢者が習得
ドラクエ4 :レベル33でマーニャが習得
ドラクエ5 :レベル33でビアンカとフローラが習得
1、2では登場しませんが、登場する3~5ではレベル30代での習得と後半になってから覚える呪文であり、威力も単体攻撃呪文としては最高火力となっています。
にもかかわらずレベル18のポップが物語の最初から習得しているという点が違和感の正体でしょう。
またもう一つの違和感はメラ系とヒャド系の呪文以外を全く覚えていないというところです。
例えば職業制が採用されているドラクエ3の魔法使いを見てみます。
ドラクエ3の魔法使いはレベル18になるまでにメラ系、ヒャド系のほかにもギラ、イオの攻撃呪文に加えてスカラ等の補助呪文も習得します。
スカラ等の強化呪文は漫画での表現が難しいという理由で登場させづらかったのかもしれませんが、ギラやイオ、それからスカラ等の強化呪文の代わりにルーラなどは覚えさせていても良さそうです。
なんせメラゾーマを覚えているくらいですから。
色々と書きましたが疑問点を整理するとこのようになります。
①ゲームのドラクエで高威力呪文のメラゾーマをレベル18のポップが覚えている理由
②メラ系とヒャド系の呪文以外覚えていない理由(特に補助呪文を全く覚えていない)。
この2つをメドローアの習得とマトリフの登場という伏線に紐づけて考えていきます。
ポップが最初からメラゾーマを覚えている理由
まずダイの大冒険を読んだ方ならご存知だと思いますがゲームのドラクエとダイの大冒険では呪文のランクというか格が異なります。
例えばゲームのドラクエではメラゾーマは最高火力を誇る単体攻撃呪文ですが、ダイの大冒険ではそんなことはなく、ベギラゴン(極大閃熱呪文)やイオナズン(極大爆裂呪文)より明らかに格下に描かれています。
※大魔王バーンの最強呪文はカイザーフェニックス(メラゾーマ)ですがあれはオリジナル名称がついているくらいなので別物と考えましょう。
この理由はみなさんご存知のとおりメラゾーマ(とマヒャド)は極大呪文ではないからです。
ダイの大冒険では各系統の最高位の呪文は極大呪文と呼び、両手を使わないと放つことが出来ないという独自の設定があります。
イオナズンやベギラゴンはそれぞれ極大閃熱呪文、極大爆裂呪文と呼びますが、メラゾーマとマヒャドは極大呪文ではありません。
メラゾーマとマヒャドを合体させた呪文であるメドローアが極大消滅呪文になるわけですね。
このメドローアは触れたもの全てを消滅させるというとんでもない性能を持った呪文で決まれば一撃必殺の威力を誇ります。
なので他の極大呪文よりも格上の扱いですね。
まとめるとダイの大冒険の中での呪文のランクはメドローア>ギラ系、イオ系、バギ系>メラ系、ヒャド系という構図になるわけです。
ポップが初めてメラゾーマを使った時に極大呪文と表現していないことから作者の頭の中には最初からメラ系とヒャド系の頂点であるメドローアが構想にあったはずです。
上記を踏まえるとポップがメラゾーマを覚えていたこと、またメラ系とヒャド系しか攻撃呪文を覚えていなかったことにも納得がいきます。
つまりダイの大冒険の中ではメラゾーマは高ランクの呪文ではないわけです。
だからポップはダイの大冒険の世界での呪文のランク通り、低威力のメラ系とヒャド系をまずは覚えていたということなのでしょう。
※ヒュンケルとの戦いで新たに覚えたギラを使いましたがメラゾーマより発動が大変そうな描写がありました。
またメラゾーマを覚えている一方でマヒャドを覚えていなかった理由はポップがメラ系が得意な点を表現するためでしょう。
メドローアの習得の一番の難関はメラ系とヒャド系のバランスをとることです。
マトリフ曰くセンスがないやつは一生できないとのこと。
メドローアの習得に際してポップが苦労したのはメラ系の威力が強すぎてうまくヒャド系とバランスを取れない点でした。
作者の頭の中にはポップのメドローアの習得シーンでポップの苦労を表現する点まで含めてマヒャドを覚えさせなかったのではないでしょうか。
まぁここまでいくと考えすぎかもしれませんが、ダイの大冒険は改めてよく作りこまれていると感じました。
ポップが補助呪文を覚えていない理由
これは上述のとおりスカラやピオリムなどの補助呪文は漫画だと表現が難しいため出てこなかったというのが一つの仮説です。
事実ポップは最後までスカラやピオリムは習得していません。
ですが、攻撃呪文以外のルーラ等の呪文はアバン先生から教わっていても良さそうなものです。
これにはポップの補助呪文に対する考え方とマトリフの登場が関係していると考えています。
まずポップの補助呪文に対する考え方という点です。
ポップは初めてマトリフにルーラを教わる際に下記のように発言しています。
それに・・・ルーラなんて覚えたって戦いの役には立たないじゃんか・・・!!
ダイの大冒険 第6巻 P159
マトリフと出会う前までのポップは戦いの役に立たない呪文は覚える必要はないと考えていたわけですね。
そんな調子でアバン先生からも攻撃呪文以外はろくに教わらなかったのでしょう。
しかしそんな考えのポップをマトリフは一喝します。
・・・生意気ぬかすなッ!!!
魔法使いの魔法ってのはな仲間を守るためのものなんだ
無数の呪文と知識をかかえ皆の危機をはらうのが魔法使いの役目だ
もしおまえがルーラを使えていたら炎上する気球船からたやすく仲間を救えたことがわからんのか!!?ダイの大冒険 第6巻 P159~160
ポップはこの時のマトリフの教えをもとに自分の力を仲間のために使えるように成長していくのでした。
攻撃呪文以外の重要性をポップに教えるという役割をマトリフに担ってもらうために作者は当初のポップに攻撃呪文以外を覚えさせなかったのでしょう。
ポップの成長を一つ一つ丁寧に描いていると感じます。
あとがき
今回はダイの大冒険のステータス画面でポップの習得呪文を見ていて気が付いたことをまとめました。
メドローアの習得、マトリフの登場等、ポップの初期習得呪文にもこんな伏線がはられていたのかと改めて感心しました。
何度読んでも新たな発見が出てくるダイの大冒険に脱帽です。
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