ダイの大冒険における魔王軍の主人公ハドラーについて語ります。
管理人の見解ではダイの大冒険の主人公はダイとポップの二人という認識です。
しかし何度か読み返しているうちにハドラーは魔王軍側の主人公と言えると気付いたので記事にまとめていきたいと思います。
まずダイとポップです。
ダイはもう主人公そのままで、竜の騎士という特別な出生と能力。
背負っているものの大きさ。どこから見ても主人公です。
ダイが特別な存在ならポップは読者の目線からダイ達の旅を見せてくれる存在です。
名前のポップも一般的なという意味のポピュラーからきています。
特別な出生が多いアバンの使徒の中で唯一普通の武器屋の息子がポップなのでした。
そんな普通な一般人のポップが仲間の中で一番成長して最後にダイと二人で大魔王バーンに立ち向かう姿は読者の胸に響きました。
一般人の星として成長したポップは間違いなくダイと並ぶ主人公といえるでしょう。
魔王軍の主人公ハドラー
ダイの大冒険は上記のようにダイとポップのダブル主人公なのですが、実は魔王軍にも主人公と言うべきキャラクターがいます。
それがハドラーです。
なぜハドラーが魔王軍の主役なのか。
それはハドラーの成長力にあります。
ダイの大冒険においてアバンの使徒たちはすごい勢いで成長していきます。
肉体的にも精神的にもです。
戦いの中で驚異的に成長したことで最後に大魔王バーンを討つことが出来たのでした。
一方魔王軍のメンバーで成長した人物はハドラーしかいません。
バラン、クロコダイン、ヒュンケルといった味方になったメンバーを除き、最後まで敵だったメンバーで唯一ダイ達に合わせて自ら成長したのがハドラーなのでした。
ハドラーの成長
ハドラーの成長には二つの側面があります。
それは肉体的な成長と精神的な成長です。
肉体的な成長はご存知のとおり超魔生物による進化です。
ザボエラと一緒に勇者一行に夜襲を仕掛けたハドラーですが、竜の騎士の力をコントロール出来るようになったダイに返り討ちにされ瀕死の重傷を負います。
ダイやポップを始めとするアバンの使徒の成長力に脅威を覚えたハドラーは自らもアバンの使徒と同じように成長しなくては太刀打ちできなくなったことを実感します。
そこでザボエラに自身を超魔生物に改造するように命令するのでした。
魔族の身体を捨てて超魔生物になったハドラーは魔力での無限の復活は出来なくなったものの、肉体は強靭になり飛躍的に強くなります。
※呪文が使えなくなるという超魔生物の欠点も魔族の身体に戻れないというリスクを負うことで解消しました。
その強さは竜の騎士であるダイやバランとも互角に戦えるほどになりました。
次に精神的な成長です。
どちらかというとこっちのほうが重要です。超魔生物になればだれでも強くなれますが精神的な強さはそうはいきません。
ハドラーの精神的な成長のポイントは2つです。
1つ目は超魔生物になり肉体的に強靭になったことで精神面も成長したことです。
従来ハドラーは自分の魔軍司令という権力に固執していました。
自分より強いと思われる部下がいるなかでいつ権力を奪われるか心配でならなかったのでしょう。
超魔生物になる前のハドラ―であればバラン、ミストバーン、ヒュンケルと戦えば敗北していたでしょう。
※実際氷魔塔でヒュンケルで闘った際には敗北していました。
しかし超魔生物になったハドラーは圧倒的な強さを手に入れたため精神的に余裕が出来ました。
それが精神的な成長につながり手段を選ばずに夜襲をかけていたハドラーが自分の強さを試すためにも正々堂々とアバンの使徒と対峙することを望むようになったのです。
これが一つ目の成長ポイントです。
二つ目は自らの死期を悟ったことによる精神的な成長です。
超魔生物に改造したハドラーですが、改造の際に上司であるバーンに裏切られて身体に黒のコアを埋め込まれてしまいます。
黒のコアの爆発はバランが命を懸けて防ぎましたが、ハドラー自身も致命傷を負い自らの命が長くないことを知ります。
ここでハドラーは最後に自らが命を燃やして戦う相手を自らを裏切ったバーンではなく最強のライバルであるアバンの使徒を選びます。
結局ハドラーはダイに敗れますが最後にはアバンの使徒と分かち合いアバンとも再会し満足してこの世を去るのでした。
死期を悟ったことでハドラーは自分にとって一番大事なものは何かを明確にすることが出来ました。
優先順位がはっきりしたのですね。
今まで権力に固執していたハドラーが本当に大事なものに気づいたのは精神的な成長と言えるでしょう。
ハドラー親衛騎団
ハドラー親衛騎団はアバンの使徒と対になる存在と言えます。
それは魔王軍で唯一チームワークを駆使して戦うメンバーだからです。
ハドラーから生み出された親衛騎団はハドラーの性格がもろに受け継がれることになります。
その親衛騎団がチームワークを駆使して正々堂々と戦うというのはハドラー自身がそのような性格に成長したことを表しています。
以前にハドラーから生み出されたフレイザードの権力への執着と勝つために手段を選ばない姿を見るとハドラー自身の成長がより分かりやすくなりますね。
ハドラーと親衛騎団の絆はアバンの使徒に勝るとも劣らないものでハドラーを中心としてしっかりまとまっている姿はアバンの使徒と全く同じです。
それはポップも認めていて努力をして協力して敵に勝とうとしているハドラ―親衛騎団の姿を見て俺たちと同じじゃねぇかという発言をしています。
ハドラーは最後の最後で部下に恵まれましたが、それはハドラー自身の精神面の成長からもたらされたものなのでした。
あとがき
最初の情けない姿から最後は格好良くなるというのがポップとハドラーの共通点です。
魔王軍で唯一アバンの使徒に合わせて成長してきたハドラーは魔王軍の主人公と言っていい存在なのではないでしょうか。
またバーンに対する態度も変わってきています。
超魔生物になる前は常にバーンの顔色を窺っておびえていましたが、超魔生物なり精神的に成長した後はバーンに対しても臆することなく接することが出来るようになりました。
何度読んでも新しい発見があるダイの大冒険。
本当によく練られたストーリーだなと感心するのでした。
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